給湯室の前で茶を点てる谷田半休家元(仮)(撮影/奥村智載)
給湯室の前で茶を点てる谷田半休家元(仮)
(撮影/奥村智載)

 給湯流茶道をご存じだろうか。会社の廊下の隅っこにある給湯室を茶室に見立て抹茶を点てる、それが給湯流だ。

給湯流家元(仮)と称するのが谷田半休。世を忍ぶ仮の姿はOLである。

「茶道は戦国時代の武将の間で広がっていったものですが、現代社会において、いつリストラにあうかわからないOLやサラリーマンは戦国武将に似ていると思うんです。武将たちが戦の間に茶を点てていたように、仕事の合間にOLやサラリーマンに茶を点てたい。それが給湯流のコンセプトです」

 しかし、よりによってなぜ給湯室という暗くて狭い場所でなくてはならないのか。

「千利休が建てた『待庵』という茶室が京都にあります。この広さが2畳。ちょうど会社の給湯室と同じくらいの狭さだと気付いたんです。そこで、社内でお茶をやっている同僚を誘い、茶道具を持ち寄って給湯室で抹茶を点ててみました。そのときメンバーの口からポロッと出たのが『これって給湯流ですね!』という言葉。以来、給湯流を名乗るようになりました」

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