清原の場合で見てみましょう。高校時代から注目されていた清原は、第1の自信を中心に、自信満々の20代を送ったと考えられます。順調な時は第2・第3の自信はあまり重要視されません。ところが、いったん第1の自信がゆらいでくると、第2・第3の自信の有無が非常に重要になってきます。

 清原ほどの選手でも年齢には勝てません。次第に成績が落ちていき、第1の自信の低下につながります。第1の自信が他の2つを引っ張っていた場合、第1の自信の低下は当然ほかの自信にも波及します。

 清原の場合「現役の時は、周囲がごちゃごちゃいっても、バット一振りで(ホームランを打てば)黙らせることができた」という、その経験値も通用しなくなっていきます。つまり、「第2の“身体・生き方”の自信」の低下です。

 成績が落ちれば、周囲の関心も潮が引くように薄れていきます。自分は世の中から必要とされなくなったと感じてしまいます。つまり「第3の“愛される”の自信」も低下してしまいます。

■自信を補おうとする対処で、自信を失うという悪循環

 私は自衛隊で、まじめでマッチョな隊員が、折れていくケースを何件か見てきました。彼らは、清原のように優秀な成績を上げていたのですが、ある時急に働けなくなってしまいます。

 その一番の原因は、業務処理能力が高くても「蓄積疲労」への対処能力が低いことでした。このメカニズムについては、『元自衛隊メンタル教官が教える 「折れてしまう」原因は、ストレスではなく◯◯だった』で紹介しました。

 実は、折れてしまう人には、もう一つ特徴があるのです。

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