それは、自信を失い始めた時に、第2・第3の自信を補強するために、あることに「はまり」、それが結果的にさらに自信を失わせるというサイクルに陥ってしまうことです。

 第2の自信を補強するために、身体的能力の回復を感じられるような課題、例えば筋トレやダイエットを始めます。若さを取り戻そうと、恋愛や美容系にはまる人もいます。エネルギーが低下してうつになっている自衛官が、自信を回復しようとして筋トレに励む。当然、疲れが増して、うつが悪化します。

 清原の金髪・ピアスや入れ墨も、格闘家を目指そうとしたのも、そうした現象のひとつだったと思われます。周囲はその異様な雰囲気に次第に距離を取ります(第3の自信の低下)。そしてそれでも自信を回復できなかった彼が最終的に陥ったのが薬物でした。覚せい剤は、身体の疲れを吹っ飛ばし、若さを感じられます。まさに「第2の自信」を速攻で回復させてくれるのです。

 ところが、その効果が切れたとき、ものすごい脱力感とともに「自分の力ではなかった」ということをより強烈に感じてしまいます。するとその苦しさを断ち切るために、また薬物を続けるという悪循環に陥り、「やめようと思うのにやめられない状態」になるのです。これは、「自分の身体をコントロールできない」という、強烈な第2の自信の低下につながります。

 最終的に清原は、薬物の苦しさと、生きていく自信の喪失に苦しんでいたのでしょう。それはまさに、死ぬほどつらい体験だったろうと私は想像します。

 清原のようないわゆる成功者でも、社会での成果を失い始めると、人は無意識のうちに、身体を補強し、愛を求めるようになります。それが極端になると思わぬ挫折につながります。そうならないためにも、社会での成功だけでなく、ほかの自信も意識したバランスのいい生き方を送りたいものです。