カナダで生まれたニュースポーツ「キンボール」を楽しむ陸前高田市立気仙中学校の生徒たち
カナダで生まれたニュースポーツ「キンボール」を楽しむ陸前高田市立気仙中学校の生徒たち

 東日本大震災で被災した東北地方の学校をネットショッピングで支援する「ウェブベルマーク運動」が、新たに「学校指定機能」を導入した。サイト上で支援先の学校を指定すると、東北の被災校支援と同時に、自分の子どもが通う学校や卒業した母校など、選んだ学校に支援金を寄付することができる。

 指定できる学校は、ベルマーク運動に参加している全国の小中学校など約2万8千校。支援金は、指定学校と東北の被災校に半分ずつ送られ、学校を指定しない場合は、全て被災校に送られる。

 食品や文房具などの商品についたベルマークを切って集めるベルマーク運動が始まったのは1960年。ネットが普及したことにあわせ、このベルマーク運動に加わったのが「ウェブベルマーク運動」だ。東日本大震災被災地などの復興支援を目的に、一般社団法人ウェブベルマーク協会(理事長=小島敏郎・青山学院大教授)が2013年9月にスタート。ウェブベルマークサイトを経由して、協賛会社のショッピングサイトで買い物やサービスを利用するだけで、自己負担なく、ショップごとに購入金額の一定割合の支援金が協賛会社から支払われ、被災校支援に充てられる仕組みになっている。アフィリエイト(成果報酬型広告料)を活用して支援金は協賛社が負担しているので、誰でも、簡単に参加することができる。

 ウェブベルマークで生まれた支援金はベルマーク教育助成財団に助成され、ベルマーク財団がベルマーク運動での資金とあわせて支援を実施している。同財団による東北の被災校支援プロジェクトの実績は、岩手、宮城、福島、茨城4県の被災校、延べ1346校で計4億735万円相当になっている。

 ベルマーク支援の強みは、地元の校長会などの意見を聞いて、学校でいま必要なものを支援していることだ。岩手県陸前高田市立気仙中学校の鈴木利典校長は「被災者と支援者の希望を一致させることが大事です。先生方がいま必要としている教材を購入できるベルマークは、少ない学校予算の大きな補強になると感謝しています。そしてウェブベルマークにも期待しています」と話す。同校では2015年、ベルマークで、カナダで生まれたニュースポーツ「キンボール」を購入し学年レクを盛大に実施した。

「震災から4年以上経っても被災地では生徒の心のケアが必要。個別のケアにはもちろん対応していますが、集団(学校・学年)を明るくすること、未来志向の集団に変えていくことが被災校ではとても大事なこと」とも話す。鈴木校長はこの実践を「集団のケア」と呼び、被災校の学校生活に潤いを与える活動に積極的に取り組んでいる。こういった取り組みにもベルマークが活用されている。