孤独な子育てをサポート(イメージ)
孤独な子育てをサポート(イメージ)

「子ども・子育て新支援制度」が始まって半年がたった。幼稚園と保育所の機能をあわせもった「認定こども園」の普及を目指すのも、この制度によるものだ。

 認定こども園は、保育所ではないため両親ともに働いているなど、保育を必要とする家庭の子どもでなくても通える新しい施設として2006年に誕生した。内閣府子ども・子育て本部の発表によれば、認定こども園の数は今年4月1日現在、全国で2836件。前年度に比べると倍増しているとのことだが、今子育て真っ最中の親たちが、子育て環境の改善を感じる機会はまだあまりないようだ。

 都内在住で6歳と3歳の子をもつ専業主婦のAさんも、新しい制度が始まった実感はないという人のひとり。「近所で認定こども園が新設されたという話は聞きません。働きたいと思っていますが、働こうと思ってもいま仕事をしていなければ子どもを保育所に入れられない。預けられなければ仕事は見つからない。どうしたらいいのかと思います」。

 新制度では、他にも働いていない母親などが利用する子どもの"一時預かり"ができる場所を増やすなど、専業主婦にも手を差し伸べる施策が打ち出されている。しかし、実際のところはどうか。3歳の子をもつ専業主婦Bさんは、「ずっと子どもの面倒をみていると、一人になる時間がまったくありません。夫の帰りは遅くてあてにならないし、孤独を感じてしまう。一時預かりを気軽に利用できたり、誰かと一緒に子育てができたら、どんなに楽か……」と打ち明ける。

 充実した子育て支援とは言いがたい現実があるが、民間の団体にはそんな母親たちを救おうと活動しているところがある。

 1980年代にイギリスで「ホームスタート」という活動を実践する、NPO法人ホームスタート・ジャパンがそのひとつだ。

 これは、地域の子育て経験者が6歳以下の子のいる家庭を訪問し、その母親がやりたいことを一緒にやってくれるというもの。ボランティアで行われており、費用は無料。母親が孤立しないように地域とのつながりをつくり、"孤育て"に陥らないためのサポートをしている。

「出産準備サイト」の記事(http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-4296.html)によると、ホームスタート活動をする団体であるNPO法人わこう子育てネットワーク(埼玉・和光市)は、都心のベッドタウンという土地の特性から、子どもを産む段階になってはじめて、地域にひとりも知り合いがいないことに気づく人が多いことに着目。そして、「他の親子を目の当たりにすると、どうしても自分の家と比べてしまい『気持ちが落ち込むので公共の場には出かけなくない』というケース」があることも考え、家庭訪問型の子育て支援サービスを始めたという。

 ボランティアが母親と一緒にやることはさまざま。何をするかは母親の意志が尊重されるので、買い物に行く、公園に行くといった外出のほか、家の中で話をするだけという場合も。一見問題を抱えていないように見える母親でも、助けを求めていたことに後で気づくこともあると同団体の女性は話す。

 子育ては決してひとりではできない。核家族が当たり前となった今、国の施策を待つだけではなく、このような子育て支援の輪を社会全体で広げていくことが求められている。