イギリスのポンド紙幣
イギリスのポンド紙幣

 9月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)の会合において、金融政策は据え置かれたため、その後の為替市場の動向が気になる方も多かったと思います。

 FOMC声明内容、その後のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見や講演、さらにFRBメンバーからのコメントをみる限り、FRBはゼロ金利解除に向かい正常化する方針に変化はないよう。市場参加者の間でも、意見はいろいろと出ていますが、経済指標のデータが比較的好調であれば、年内の最低限の行動は「DONE Deal」(一般的には「取引成立」。もっと広い意味では、「既定路線」つまりゼロ金利解除)。 とみていいものかどうか……。

 FRBの方向性はさておき、今回の話題は、為替取引においての「上昇」と「下落」のお話しです。

 一般的に、「為替相場」と言いますと、何が思い浮かぶでしょうか?

「119.50-53」という数字のイメージでしょうか?それとも両替する際に表示される「1USD=119.50円」でしょうか。どちらも正解です。為替相場=外国為替相場であり、外国通貨と自国通貨との交換比率を指します。
 
 また、この交換比率(為替レート)が動く場合において、よく聞く言葉として「円高」、「円安」がありますが、この表現はドルに対して、円の価値が高くなる方を「円高」といい、安くなる方が「円安」といいます。これを数値で見れば、「1ドル=119.50円」が「1ドル=119.00円」になるのは「円高」です。反対に「1ドル=119.50円」が「1ドル=120.00円」になるとこれは「円安」です。「高い」、「安い」という言葉だけで考えますと、何か違和感がありませんか?

円の視点では、視覚的な数字の動きを見ていると、言葉と正反対。むしろ、ドル円の関係であれば、基軸である米ドル(USD)の視点で考えた方が、より分かりやすいです。前者は、ドル「安」であり、後者はドル「高」。無理に、円の視点でとらえようとしても、視覚的数値が見えてしまうので、取引の視点で考える場合には、通貨ペアの表記にもある左側の通貨 (ドル円であれば、USDJPYのUSD)をベースに取引の方向性を考えた方が理解しやすいのです。よって、前述の場合には、ドル安・円高、もしくはドル高・円安のワンセットで考えていくのがよいでしょう。

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