「SNSでのやりとりは、趣味や価値観などが互いにわかるので、心的距離が縮まった状態になれる。だから、実際に会った際には、互いのすべてをわかった状態で会える。セカンド・パートナーというよりも“友人探し”の場として、SNSを活用できる側面がある。それが機能したと思います」

 SNSは、趣味、価値観を開示することから、ネット上とはいえ“似た者同士”が集まる傾向がある。職場や趣味などのサークルでの出会いだと、互いの事情を打ち明け、関係が深まるまで時間がかかる。しかしSNSだとそれが省ける。女性はただみずからの思うこと、日常を綴っているだけで男性のほうから言い寄ってくるという環境、それがSNSといえよう。

 さらに、複数のセカンド・パートナーがいる女性もいる。愛知県内に住むピアノ講師のカオリさん(44)だ。現在、大手メーカー勤務の夫(46)と中学2年の娘と暮らしている。

「私にはセカンドのほか、サード、フォース、フィフスのパートナーがいます。長年続いているセカンドの男性との出会いは、今はもう無くなりました『Yahoo! チャット』でした。サードはアメーバブログのピグチャット、フォースはmixi、フィフスはFacebookです。すべて男性から私に言い寄ってきた方ばかり。IT社会のおかげで多くの男性から愛を頂けて感謝です」

 カオリさんのセカンド・パートナー探しは、1990年代後半から始まった。その軌跡は、まるでネット上でのコミュニケーション・ツールの流行をそのままなぞっているようだ。

「10年前は、まだ『チャH』とかもしていましたよ。当時、私もまだ30代でしたし。でも、あくまでもチャット上の話です。体の関係はないので不倫ではありませんよね? チャットが廃れて、SNSになると、かえって出会いが狭くなってきた気がします。SNSだと経歴や実名を明かします。だからリアル社会とどこか変わらないところがある。男性の身元が“ある程度”ですがわかるからでしょうね。とはいえ、女性の立場としては身元があるので安心です」(カオリさん)

 数居るパートナー男性とは、チャHを含む性的なやりとりをネット上ではしても実際に肉体関係を持つことなく、デートは食事や映画などのプラトニックなそれに限っているという。そこがパートナー男性との間に設けている“不倫”との線引きだ。

 カオリさんもまた他のセカンド・パートナーを持つ女性同様、夫や女友達にもその存在を明かしているという。それどころかセカンドからフィフスまで、数居るパートナー男性同士も引き合わせ皆が「LINE」で連絡を取り合うなど良好な関係を築いている。

「パートナー男性同士が仕事上での関係を持ったりしています。私の誕生日には4人のパートナー男性、皆でいっしょに食事会をしてくれました。私を取り巻くファンと思えば夫も安心です」(同)

 ネットでのコミュニケーション・ツールの発展、それは既婚女性のセカンド・パートナーを持つ環境をも整えたといえる。IT社会の発展は、既婚女性の価値観をどう変えていくのだろうか。

※本文中、カタカナの名前は仮名

(フリーランス・ライター 秋山謙一郎))