30代になってもまだお笑い芸人として芽が出ない息子に、母は「ひとまず普通の仕事に就いてみては」と諭した。だが、いくら有名私大卒の学歴があるとはいえ、“職歴なし”ではどこの企業でも面接すら受けられないことがほとんどだ。

「いくつかようやく面接までこぎつけても採用にまでは至りませんでした。そんなことが続くと、就職するよりもアルバイトをしていたほうが収入になるので、もう就職そのものを諦めました」

 数年前、認知症を患った父への出費もかさむ。シゲノブさんは何とか収入を増やそうと株式取引の勉強を始めた。

「何か自分に売れるサービスや知識、商品があればいいのですが。でも何もない。そんななかで行き着いた先が株式取引でした。でも所詮は素人。収支は赤字ですね」

 認知症が進行した父の介護は自宅ではもう困難だ。しかるべく施設に入れたい。でもそれには毎月約10万円の費用がかかるという。母のパート収入は8万円、自分がアルバイトを増やしてもとても賄えない。

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