ラガーさんをはじめとする高校野球フリークが集まる「8号門」
ラガーさんをはじめとする高校野球フリークが集まる「8号門」
ラガーシャツがトレードマークの「ラガーさん」こと善養寺隆一さん(デュマデジタル提供)
ラガーシャツがトレードマークの「ラガーさん」こと善養寺隆一さん(デュマデジタル提供)
夏の甲子園には、毎年約30着のラガーシャツを用意して臨むという(デュマデジタル提供)
夏の甲子園には、毎年約30着のラガーシャツを用意して臨むという(デュマデジタル提供)

 いよいよ8月6日から夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)が開幕する。一試合一試合に全てを賭けた球児たちが繰り広げるドラマには多くの人が胸を打たれる。そんな高校野球を愛してやまない人たちで結成された私設応援団「8号門クラブ」をご存知だろうか。

 総勢100人ともいわれるメンバーたちは、春夏の甲子園期間中は、毎日バックネット裏の最前列や二列目といった良席で観戦する。門の前で開場を待つ人は多く、席を巡る争いはし烈を極めるため、大会期間中は毎日席に通じる「8号門」の前で寝泊まりすることから、「8号門クラブ」と呼ばれるようになったという。

 メンバーの1人に、いつもバックネット裏最前列で観戦するラガーシャツの男性がいる。愛称「ラガーさん」こと善養寺隆一さん(48)は、東京都内在住の高校野球フリークだ。家業の印刷会社を手伝いながら、春夏の甲子園は休みを取り、必ず全日程の通し券を購入して観戦する。

 1日の試合が終わって球場の外に出ると、すぐに8号門に並ぶ。夜は椅子の上に段ボールを敷き、バスタオルをかぶって寝る。朝は午前4時に起き、門の最前列で開くのを待つ。食事や入浴、洗濯などは交代で行い、「2時間以内に戻る」という決まりがあるという。

 ラガーさんは、99年からこの観戦スタイルを始めた。固定メンバーは20~30人ほどで、全国各地から参戦するという。その執念というか、高校野球に対する愛情の深さには驚くものがある。

 筆者が初めてラガーさんと話したのは、2015年7月4日夜。その日は神宮球場で行われた東東京大会一回戦、海城が目黒学院に10-8で逆転勝ちした試合を見に行っていたそうで、「もうすごかったですよ。雨の中、9回で6点差をひっくり返す逆転劇でした!」と興奮冷めやらぬ感じだった。

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