40歳を超えた時、仲間のひとりが言った。

「30歳の時、40歳を想像できなかったけれど、40歳って、50歳が想像できるよなあ」

 みんなうなずいた。

「なんでだろう」

 と、思った。

 すると、他の仲間で言った。

「マラソンをしているとわかるよ。折り返したら、距離がわかるからだよ」

 みんな納得した。

 たしかにそうかもしれない。

 なんとなく、残りの人生の長さが想像できるようになる。

 そして、いつか「終わり」が来ることが、すごく現実的になる。

 50歳を過ぎた時、わたしは、大切な仲間を2人亡くした。

 どちらも、わたしよりも年下で、彼らには、わたしよりも限りない未来があると信じていた。

 ひとりは、人気カウンセラーで、本もベストセラー。

 孫もできたところで、彼みたいな人が、たくさんの悩むメンバーを救うと信じていた。

 そんな彼は、セミナーの最中に倒れて、そのまま帰らぬ人となった。

 その彼のセミナーに参加していたメンバーから聞いた話によると、彼の最後の言葉は、

「あきらめたらあかん」

 だったらしい。

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