小泉今日子と宮沢りえ 相反する二人の意外な共通点 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
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小泉今日子と宮沢りえ 相反する二人の意外な共通点

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助川幸逸郎dot.#小泉今日子になる方法
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出演:宮沢りえ、長塚圭史/監督:犬童一心

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新・日本人論。

湯山玲子他

978-4864910996

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 どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。

 日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。

※「小泉今日子と宮沢りえは、なぜ生き残ることができたのか?」よりつづく

*  *  *
 宮沢りえは、子どものころから芸能界という「普通でない環境」で生きてきました。そういう中で「自己肯定感」を手にした彼女には、「私は特別」という確信があるのでしょう。皺を浮かべたまま画面に映ることができるのは、それを受けいれてもらえることがわかっているからです。

 小泉今日子には、その種の自信はおそらくありません。彼女はむしろ「本当の自分」を隠そうとするタイプです(助川幸逸郎「小泉今日子の最大の強みとは?」dot.<ドット> 朝日新聞出版 参照)。

 にもかかわらず、小泉今日子も「加齢による変化」を隠そうとしていません。「その年齢なりのベスト」を目指せばいいのだと雑誌でも発言しています(注1)。

 作家の湯山玲子によると、小泉今日子と舞台で共演した深浦加奈子は、こんな言葉を口にしていたそうです。

<キョンキョンは会話をする相手の役者のセリフをよく聞いているのよ。普通、ぽっと出のタレント役者にはそれができないのにね。台詞を言わずに舞台の隅で佇んでいる時も、自分が出てしまうことがなく、全身でフローレンスになりきっているんだよね>(注2)

 小泉今日子が、演技する中でいかに真剣に「自分でない誰か」になろうとしているか。深浦加奈子の証言はそのことを物語っています。

 逆説的なことですが、「自分でない誰か」に化身するには、自分をよく知らなくてはなりません。自分のしぐさや表情にどんな癖があり、どんな印象を他人に与えているか――ひとつの人物像を作り上げる「素材」としていかなる特性があるのかを、見きわめる必要があるからです。

「素材」として自分を冷徹に眺めるなら、「自分に無理なこと」がおのずと目に入ってきます。たとえば、50歳の役者には、30歳のころと同じ立ちまわりはできません。そうしたことを率直に認めない限り、「自分の限界」がかえってそのまま役に残ってしまいます。これでは、「自分以外の誰か」になることはできません。

「その年齢なりのベストを目ざす」という小泉今日子の発想は、演技者として経験を重ねる中から生まれたのでしょう。「ありのままの自分」に自信のある宮沢りえと、そうした自信のない小泉今日子と――ふたりの「大女優」の自己意識は、対照的です。にもかかわらず、「年齢に無理に抗わない」という点は共通しています。

 正反対の立場から、ふたりの「大女優」がおなじ結論にたどりついたというのは、興味深い事実です。どのような生き方をしていてもそれを極めれば、最後にはひとつの真理が見えてくるのかもしれません。


※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました

注1 「小泉今日子になるには?」(「GLOW」 2013年5月号)
注2 湯山玲子「小泉今日子論」(『新・日本人論』 ヴィレッジブックス 2013)


助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう)
1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など


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