7連覇を飾った内村航平(写真・末永裕樹)
7連覇を飾った内村航平(写真・末永裕樹)

 2位と3点近い点差をつけての、圧倒的な勝利だった。5月17日、東京・代々木第一体育館で行われた第54回NHK杯体操で、内村航平(コナミ)が7度目の優勝を勝ち取った。

 すべての種目で、完成度の高い演技を見せつけた内村だったが、中でも本人が「かなりよい演技ができた」と話すのが、跳馬。F難度の大技「リ・シャオペン」でほぼ完璧な着地をみせたのだ。

 大学時代から、実に8年にわたってこの技を練習してきたという内村。その間、この技を初めて成功させたリ・シャオペン選手の動画を「100万回くらい見た」と話す。4月に行われた全日本体操選手権でもこの技を成功させていた内村だが、今回はその時よりも高い完成度で技を披露。着地もマットのほぼ中央につけ、会場を大きく沸かせた。内村はこの技への思いを次のように明かす。

「リ・シャオペンは大学1年の時に初めてやって。やってみたらできたんですが、使えるレベルじゃなかった。その時から、僕の跳馬の終点はリ・シャオペンだと思ってやってきました」

 また、今回のリ・シャオペンは、全日本体操で披露したときとも大きく感覚が違ったようだ。

「全日本ではまだ、(着地で)立てるか立てないか分からないという状態で挑んだので、勢い任せでやっていたんですが、今回は、しっかりやればできるということが分かっていたので、余裕を持って臨めました。前回は跳馬にズシッと刺さるような感じがあったんですが、今回は力が抜けたというか、全体的に余裕をもってできました」

 すでに世界選手権代表に内定している内村。自身が「間違いなく日本の武器になる技」と話すこの技を引っ提げて、10月に開かれる世界選手権に挑む。

(ライター・横田泉)