それに対して、中東は10チームが出場しながら、7チームがグループリーグで敗退した。前回のカタール大会も地元開催ながら中東勢は、ベスト4に1チームも勝ち進めなかった。この4年間で地盤沈下はますます進んだようだ。かつてのサイード・オワイラン(サウジアラビア)やアリ・ダエイ(イラン)のような傑出したストライカーは、もう伝説の時代となったのかもしれない。今大会のグループリーグ全24試合で、引き分けが一度もないのも中東勢のレベルダウンの影響と言える。

 日本はグループリーグ3試合を無失点で終えた。3試合で作った決定機は16回、被決定機は0という完璧な試合運びである。地元のテレビは早くも日本を優勝候補の大本命にあげていた。しかし前述したように、対戦相手の実力も考慮する必要がある。

 ただ、準々決勝の相手はイランではなくUAE、そして順当なら準決勝の相手はオーストラリアだ。いずれも前述したように、グループリーグ最終戦で2位に転落したチームである。本来なら日本の相手はこれまで死闘を繰り広げてきたイランと韓国になるはずだっただけに、今大会の日本は“ツキ”に恵まれているかもしれない。

(オーストラリア・メルボルン=サッカージャーナリスト・六川亨)