サッカーワールドカップでは、このブラジル大会から導入された「ゴールラインテクノロジー(GLT)」。15日(日本時間16日)に行われた、フランス対ホンジョラスの試合では、このシステムによってゴールと判定されたW杯初の得点が記録された。

 ところで、このゴールラインテクノロジー(GLT)とはいったいどのような仕組みなのだろう?名称が示すように「サッカーボールがゴールを割ったか否か」を判定するのがこのシステムの役割。サッカーでの正式導入は、2012年12月に行われたクラブ・ワールドカップの横浜国際競技場(日産スタジアム)での試合からとなる。

 現在、GLTに用いられる方式は大きく分けて2種類ある。ひとつは、ボールの中に埋め込んだチップとゴール周辺に発生させる磁場で、ゴールラインを割ったかどうかの判定をするもの。もうひとつが今回のワールドカップで導入されている複数台のカメラで撮影することににより判定するものだ。ちなみにすでにテニスの国際大会などでは、「フォークアイ」と呼ばれるビデオ判定システムが導入されており、ライン周辺のきわどいジャッジの際などに利用されている。

 今回、サッカーW杯ブラジル大会の全12会場で導入されているのは、独ゴールコントロール社の「ゴールコントロール4D(GoalControl-4D)」というシステム。両サイドのゴールをそれぞれ7台のカメラが監視。撮影位置、角度の異なる映像を瞬時に解析し、1秒以内でゴールラインを割ったかどうかの判定を下す。判定は審判の持つ腕時計に送られる。

 サッカーでの導入のきっかけとなったのは、前回のW杯南アフリカ大会の決勝トーナメントのドイツ―イングランド戦だ。イングランドのランパードが放ったシュートはゴールバーの下側に当たり、ゴールライン付近落ちた。これを審判はノーゴールと判定。しかしテレビ映像ではゴールを割っているように見えた。

 今大会からは、GLTの導入によって「ゴールか否か」の判定はより納得性が高まるだろう。しかし、審判の判定はゴールだけではない。難しい判断を要求されるシーンは多くある。今大会でもすでに、初戦での西村主審のPK判定が話題を呼んだ。GLT導入にあたって、FIFA(国際サッカー連盟)は「主審のジャッジが最終であることは変わらない」とのコメントを発表していたが、そのジャッジをサポートするシステムはこれからも進化し続けるだろう。