今年の1月からスタートした少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」。現在国内の金融機関は専用口座獲得争奪戦の真っただ中で、プレゼントやキャッシュバックなどといったサービスで他との差別化を図ろうと躍起になっている。

 NISAは、専用の口座を開設すれば年に100万円まで上場株式や投資信託に投資でき、この運用益に対しては5年間非課税になるという嬉しい制度だ。しかし、口座は一人につき1口座のみで、途中で売却してしまうと非課税対象からは外れるなどといった注意点もある。

 独立系ファイナンシャルプランナーの第一人者である神戸孝氏は、著書『NISAで儲けろ!』の中で、NISAを利用する際の最も重要なポイントであり、かつ最も難しい作業が「金融機関選び」だと指摘している。

 現在NISAの口座を開設できる金融機関は下記の7業態だ。

・店舗型(従来型)証券会社
・インターネット証券会社(ネット証券)
・大手銀行
・地方銀行
・信用金庫・信用組合
・ゆうちょ銀行
・インターネット専業銀行(ネットバンク)

 注意しなければならないのが、個々の業態によって取扱う金融商品が異なるということだ。例えば、大手銀行や地銀などの銀行では、基本的に上場株式の取引ができないため、株式投資信託の取扱いが中心になる。そのため、株式なども候補としている場合は、銀行ではなく証券会社で開設しなければならないことになる。

 加えて、金融機関も店舗型かネット型かでそれぞれメリット・デメリットが異なる。店舗型の最大の特徴は顧客に対し担当者がつき、「プロの意見」を聞けることだが、その分手数料は高くつく。一方、株式投資信託にかんする手数料(販売手数料など)は、ネットバンクのほうが都銀や地銀などに比べて安い商品もある。つまり、投資運用のアドバイスを重視する場合は、店舗型の証券や都銀・地銀などに口座を開設するほうがいいし、手数料を安く抑えることを優先する場合は、ネット証券やネットバンクを選んだほうがいいことになると、神戸氏は分析している。

 各金融機関の取扱う商品やサービスが異なるがゆえに、どこでNISA口座を開設するかが「得」をするか「損」をするかの大きな分かれ目になりそうだ。