写真はイメージ/Gettyimages
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開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

ひとりっ子に共通する心理的な傾向


 たとえば、3人きょうだいが親と一緒にファミレスに行けば、それぞれが食べたいものを懸命に主張します。さもなければ、自分が好きなものにありつけません。

 
「ハンバーグがいいかな、オムライスかな」とグズグズ迷っていたら、「早くしなさい。決められないならお兄ちゃんと同じカレーにしなさい」で終わりです。

 だから、きょうだいがいる子どもは、場の状況を推し量りつつ、自分の気持ちを伝える技術を嫌でも身につけるのです。

 一方で、ひとりっ子の場合、親はいつでも自分の意向を汲んでくれます。

 決まるまでじっと待っていてくれるか、子どもの好みを熟知しており、リクエストしなくてもそれを注文してくれます。

 このように、何事につけ「40しか言わなくても100を理解してもらえる」のがひとりっ子の置かれている環境です。

 すべて親が良きに計らって準備してくれるひとりっ子について、私は「レッドカーペット状態」と表現しています。

 ところが、家に敷かれているレッドカーペットは、一歩外に出るとありません。

 そのため、学校や塾という外部環境で、「なんで私の意思を汲み取ってくれないの?」「え、これどういう意味?」という事態が、ひとりっ子には起きるのです。

ひとりっ子が苦手な「行間を読む力」

 こういうひとりっ子は、「行間を読む力」を必要とする状況が苦手です。

 たとえば、言われなくても守るべきルールのようなものも、これまで親が先回りしてフォローしてくれていたので、「聞いてないよ」となりがちです。

 勉強に関して言えば、「作者はここでなにを伝えたかったのか」という小説の解釈を上手く考えられない傾向があります。

 こうしたネガティブ側面を解決するのは簡単。

 レッドカーペットのないところを、早くからたくさん歩かせてあげるだけです。

 家ではふかふかカーペットでいいのです。ただ、「そこがすべて」にしないでください。

 もともと、ひとりっ子には親の資源を集中できるという利点があります。

 その利点を大いに生かし、さまざまな世界を見せてあげましょう。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)