(写真はイメージ/GettyImages)
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職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。

気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?

この記事では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

「言われて嫌だった言葉」ワースト3


 私は、社内教育者向けの研修の冒頭で、「自分が先輩にされて嬉しかったこと」と「されて嫌だったこと」を1人ずつ発表してもらいます。

 されて嫌だったことで多いのは「一方的に叱られたこと」で、そこでの「嫌だった言葉」のワースト3は、次のとおりでした。

「なんでこんなことしたの?」
「前にも言ったよね?」
「いつになったらできるようになるの?」

 こうした言葉を発する先輩は、ミスやトラブルを解決するゆとりがないのかもしれません。

 しかし、責められている側からすれば、「すみません」しか返すことができず、建設的な解決につながりません。

 中には、過去にまで遡って説教する人もいます。

 それは、「前に失敗したから、今度もミスをしたのだろう」という思い込みがあるからです。

 しかし、その2つには因果関係がありません。そういう決めつけは、相手の領土に踏み込みます。成長しようとする人を阻害するのです。

「すべてを聞いてくれた」という事実

 あなたは、後輩や部下が失敗したときに、つい、

「やっぱりな」
「どうせまたやるだろうな」

 と、思ったりしていないでしょうか。

 人は、「自分は努力によって変われると思うのに、他人は絶対に変わらない」と思い込んでしまうものです。

 しかし、自分に心の壁があるように、他人にも同じ壁があります。

 つまり、自分も他人も同じように変われるということです。それを信じましょう。

 ミスをした後に、最初にされたいことは、「事情や言い訳を聞いてくれること」ではないでしょうか。

 もちろん、相手の語るすべての言い訳を信じ込む必要はありません。

 しかし、最初に耳を傾けて、言いたいことを吐き出させることはできるはずです。

 事情を聞くことによって、間違った理由が明確になりますし、聞いてもらった本人の気持ちが落ち着きます。

 とはいえ、相手から事情を聞いて、自分の指導不足があった場合は、素直に謝りましょう。上司や先輩からの積極的な「ごめんなさい」は、二者間の信頼関係を強めるきっかけになります。