●がん予防の観点からも玄米食はおすすめ

 野菜と果物に関して言うと、日本人は野菜の摂取量が他の国と比べると多い。反対に、果物の摂取量が少ないという傾向があります。したがって、野菜の消費を今以上に増やすのは難しいかもしれないので、果物の量を増やすことを心掛けてみてください。

 ナッツ類とオリーブオイルを普段から摂取している人はそう多くないかもしれません。その場合、間食にナッツ類を食べ、料理で油を使う際にはオリーブオイルを使うようにするといいでしょう。

 また、白米を玄米に変えるだけで、大腸がんだけでなく、糖尿病のリスクも下がると報告されています。日本人が白米食べるようになったのはそれほど昔の話ではありません。健康のことを考えるのであれば、原点回帰をして玄米食に変えてみてはどうでしょうか。
 ちまたで流行っている糖質制限(注:糖質制限が健康に良いかどうかは、代わりに何を食べるかによって変わってきます。牛肉や豚肉など動物性の蛋白質を代わりに摂取する食事は、大腸がんのリスクが増加するため推奨されません。一方で、代わりに野菜を摂取するということであれば健康的な食事といえます)に比べると、玄米食への移行は比較的楽だと思います。

 玄米が苦手な人もいますが、うまく炊けばもちもちしていてむしろ美味しいものです。日本では玄米が消化に悪いのではないかと言う人がいますが、そんなことはありません。玄米には不溶性の食物繊維が多いため便通もよくなりますし、白米を玄米に変えたら比較的すぐに体調の変化を実感できると思います。ぜひ日々の食事に玄米を取り入れてみてください。

 注意していただきたいのは、「健康的な食事だけをすべき」という話をしたいのではないということです。人それぞれの生き方ですので、病気になってもいいからおいしいもの食べたいという人もいると思います。少し太ってしまっても、おいしいもの食べたいという人もいるでしょう。味気ない食事を毎日食べ続け、その結果、長生きできたとしても、「そんな人生楽しいのか?」という意見もあるはずです。ですから、一概にどちらがいいとは言えません。

 何を食べるかは最終的に自分自身で判断して決めればいいのですが、ただ1つお伝えしたいのは、しっかりとした正しい情報を入手した上で、何を食べるのか選択してほしいという点です。わかっていて決めているのなら、後悔もない。しかし、誤った情報に惑わされ、健康にいいと頑なに信じながら、健康に悪いものを食べてしまっている人も残念ながらいるのです。

『世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療』には、がんに関する研究をわかりやすくまとめています。ぜひご覧ください。

(津川友介:UCLA助教授 勝俣範之:日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授 大須賀覚:アラバマ大学バーミンガム校助教授)

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