フジテレビは「テレビ」より「観光」で儲けている 〈ダイヤモンド・オンライン〉|AERA dot. (アエラドット)
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フジテレビは「テレビ」より「観光」で儲けている

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川口宏之ダイヤモンド・オンライン
※写真はイメージです (Getty Images)

※写真はイメージです (Getty Images)

【図表1】

【図表1】

【図表2】

【図表2】

川口宏之(かわぐち・ひろゆき)
公認会計士
1975年栃木県生まれ。2000年より監査法人トーマツにて、主に上場企業の会計監査業務に従事。2006年、みずほ証券にて、主に新規上場における引受審査業務に従事する。2008年、これまでの経験を活かし、ITベンチャー企業の取締役兼CFOに就任。ベンチャーキャピタルからの資金調達、株式交換による企業買収などで成果を上げた。現在は会計コンサルとしてIFRS導入コンサルティング業務や決算支援業務、各種研修・セミナーの講師等を担当する。「監査法人・証券会社・ベンチャー企業・会計コンサル」。4つの視点で会計に携わった数少ない公認会計士。研修・セミナーでは「生きた数字」を感じてほしいという思いから、「実在企業の財務諸表を分析する」コーナーを設け、大きな支持を得ている。指導実績は1万人を超え、受講満足度は5段階評価で平均4.8を誇る。

川口宏之(かわぐち・ひろゆき)
公認会計士
1975年栃木県生まれ。2000年より監査法人トーマツにて、主に上場企業の会計監査業務に従事。2006年、みずほ証券にて、主に新規上場における引受審査業務に従事する。2008年、これまでの経験を活かし、ITベンチャー企業の取締役兼CFOに就任。ベンチャーキャピタルからの資金調達、株式交換による企業買収などで成果を上げた。現在は会計コンサルとしてIFRS導入コンサルティング業務や決算支援業務、各種研修・セミナーの講師等を担当する。「監査法人・証券会社・ベンチャー企業・会計コンサル」。4つの視点で会計に携わった数少ない公認会計士。研修・セミナーでは「生きた数字」を感じてほしいという思いから、「実在企業の財務諸表を分析する」コーナーを設け、大きな支持を得ている。指導実績は1万人を超え、受講満足度は5段階評価で平均4.8を誇る。

 ライバル企業に大きく水をあけられてしまった場合、どのような戦略をとるべきでしょうか。「地道にいいモノを作り続ける」という正攻法もあるでしょう。

 しかし、そんなことはこれまでも当然やってきたはず。「いっそう努力します」では何の解決にもなりません。

 実は、フジ・メディア・ホールディングスの有価証券報告書を子細に見てみると、違った道を探っていることが読みとれます。

●フジには「儲けの柱」が育っていた

 それは、もうひとつの事業セグメント「都市開発・観光事業」の存在です。

 フジ・メディア・ホールディングスの営業利益の構成比の推移をたどってみると、「都市開発・観光事業」が大きな存在感を見せています。【図表1】を見てください。

 かつては、営業利益の2割程度しか占めていませんでしたが、現在は営業利益の5割以上を「都市開発・観光事業」で稼いでいるのです。

 フジ・メディア・ホールディングスの都市開発・観光事業とは、都市部のオフィスビル賃貸や、リゾートホテルなどを運営するサンケイビルグループのことです。株式会社サンケイビルは2012年3月期にフジ・メディア・ホールディングスの100%子会社となりました。

 その後、積極的な不動産開発や、2015年のグランビスタホテル&リゾートの買収などにより、業績を順調に伸ばし、今やグループ全体の主力事業に育ったのです。

 都市開発・観光事業の営業利益率は、なんと13%を超えています。これは、日本テレビホールディングス全体の営業利益率11.7%を上回る高さです。

 フジ・メディア・ホールディングスは、主力のメディア・コンテンツ事業にしがみつくのではなく、第2の収益の柱を育てるという「多角化戦略」に舵を切っているのです。

 テレビ業界全体についていえば、インターネットとスマートフォンの普及により、テレビ広告市場は年々右肩下がりで縮小しています。5G時代になれば、この傾向はますます加速するでしょう。

 徐々に縮小する業界にいつまでもしがみついていては、グループ全体の存続が危ぶまれます。

●生き残るための多角化戦略

 例えば、かつて写真フィルム業界では、デジカメ普及のあおりを受け、急速に市場全体が縮小していきました。

 トップ企業のコダックが、事業の転換ができずに経営破綻してしまった一方、同業の富士フイルムは、事業の多角化でヘルスケア事業を育成し、見事に生き延びています。この写真フィルム業界と同じことが、テレビ業界にも起きつつあるといえるでしょう。

 テレビ業界とは違って、都市開発・観光事業は成長産業です。外国人観光客が年々増加しているだけでなく、2020年の東京でのオリンピック、2025年の大阪・関西万博の開催も控えていますので、都市開発・観光事業はますます潤うでしょう。

 目まぐるしく経済環境が移り変わるこれからの時代、生き残るのは強い企業ではなく、変化し続ける企業です。【図表2】を見てください。セグメント別の営業利益です。

 日本テレビホールディングスも視聴率ナンバーワンとはいえ、業界全体がシュリンクする中、テレビ事業のみの一本足打法では先細りです。

 そんなことは百も承知でしょう。だからこそ、全く異業種のスポーツクラブ「ティップネス」を子会社化したり、動画配信サービス「Hulu(フールー)」の日本事業を買収したり、事業の多角化を模索しています。

 しかし、ティップネスが稼ぐ利益は、まだ7億円程度しかありません。また、「Hulu」が属する定額制動画配信業界は、Amazon やNetflix など、海外の巨大企業がひしめくレッドオーシャンです。激しい過当競争が予想されるため、2本目の柱に育つかどうかはわかりません。

 不動産賃貸事業も行っていますが、フジ・メディア・ホールディングスに比べると、その6分の1程度の利益しか稼げていません。

 このように、セグメント別の利益を比較すると、事業の多角化に成功したフジ・メディア・ホールディングスと、事業の多角化に苦戦している日本テレビホールディングスという、別の姿が浮き彫りになります。

 日本テレビホールディングスは、視聴率が好調なうちに、第2の柱となる事業を育成することが急務といえます。


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