●アレクサ搭載のデバイスが実現する未来とは

 2017年にアマゾンは「アマゾンアレクサ」というAI(人工知能)音声認識システムによるサービスの提供を始めた。

 たとえばアレクサはスマートスピーカー「アマゾンエコー」に搭載されている。アマゾンエコーは、ただ話しかけるだけでアマゾンでの買い物ができるだけでなく、好みの音楽を選択して流してくれたり、知りたいであろうニュースやスポーツの結果、天気予報などの情報を音声で伝えてくれる。

 アマゾンアレクサはサードパーティーにも積極的に提供されている。アレクサを搭載したり、その機能を利用する家電製品やIoT(モノのインターネット)製品は、2017年1月の時点ですでに700以上もあるそうだ。

 例えばアレクサ対応のLinkJapan社のeRemote miniというIoTリモコンは、家庭内にあるさまざまな機器のリモコン機能を代替する。これがあれば「アレクサ、テレビをつけて」などと言うだけで、テレビやエアコンの操作ができる。

 先に紹介した紙ナプキンの図を思い出してほしい。その中の「Sellers」、すなわち「売り手の数」を「(サードパーティーの)デバイス提供者の数」と読み替えると、アマゾンがアレクサでやろうとしていることが見えてくる。

 つまり、IoTリモコンのような、アレクサを利用するデバイスの提供者が多くなればなるほど、サービスの「品揃え」が増える。それによってユーザーが「できること」のバリエーションが広がれば、「顧客の経験価値」が向上するのは間違いない。

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アマゾンはアレクサをベースに何をしようとしている?