こやま:フフフ、依頼来ちゃうから描かざるを得ないですもんね。

●やっぱり一発ヒットが大切

山田:とまぁ、三人三様の生き様ですけど、誰タイプになりたい?

こやま:なりたいのはラファエロでしょう。

山田:だよねー。普通に考えればそうなりますよ。

こやま:ダ・ヴィンチみたいな人は、ちょっと遠くから見ていたい。発注はしたくないけど。

山田:こういうとき、ミケランジェロを選ぶ人がいないのはなぜだろう?

こやま:なんか孤独な感じですもん。

山田:でも、いちばんマジメなのはこの人なんだよね。マジメは損てこと?切なくなるくらいマジメなんですよ、この人は。

こやま:でも性格がよくないですよね。あと見た目がよくないですよね。

山田:でも寂しそうだよ、この自画像、見ようによっては。かなり憂えてるよ、これ。

こやま:ラファエロは憂えてないですよね。

山田:ラファエロは普通にハッピーな人生だもん。早死にしただけで。?

こやま:人に好かれてしょうがないみたいな。

山田:パン屋のお嬢さんと恋仲だったけど、枢機卿のお嬢さんとの縁談もあったんだよね。だからこの人は長生きさえしていれば、ヴェネツィアにおけるティツィアーノみたいにローマを代表する一大巨匠になって、もっともっと世の中にラファエロの作品があふれていたと思うよ。

こやま:もったいないですねえ。

山田:でも、オレはやっぱりレオナルドみたいに自由に生きたいとも思うんだよね。憧れるよ。なかなかできないよ。『最後の晩餐』なんか、はじめて来たといっていいくらいのデカイ仕事なのに、そこでテンペラを壁画に使うという前例のないチャレンジができちゃうハートの強さは、やっぱりスゴイ。

こやま:勇気ありますよね(笑)。

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