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イケメンワンコインバー、500円。

文・内藤みか

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ワンコインイケメンバーのカウンター。イケメンのセクシーな指先を眺めるのも楽しい

ワンコインイケメンバーのカウンター。イケメンのセクシーな指先を眺めるのも楽しい

 この不況で、ついにイケメンバーにまで価格破壊の波が押し寄せてきた。
 今まで「イケメンバー」といえば、他のバーよりも少し高めの価格設定のところが多かった。なにしろ普通のバーではない。イケメンがカウンターの中にいる、というのが売りなのだから、ルックス分のお値段が上乗せされていたのだと思う。

 それなのに、このたびオープンした曙橋のイケメンバー「i-bar」は、むしろ普通のバーよりも安かった。なにしろすべてのメニューがワンコイン、つまりたったの500円なのだ。ピザなどのフードメニューも500円だというから驚いて、早速飲みに行った。

 お店に行ったその日、私はすでにワインを飲んで酔っていたこともあって、ウーロン茶をオーダーした。するとおだやかそうなイケメンスタッフが私のすぐ隣にしゃがみ、
「すみません、注文のたびにお金をいただいています」
 と微笑みながら、私に手のひらを差し出してくる。その上に500円玉を載せてあげると、なんだか甥っ子にお小遣いをあげているかのような気分になってしまった。もっと注文して彼ともお話してみたかったのだけど、おなかがいっぱいだったので、1杯だけで帰ってしまったのが、残念だった。

 最近はイケメンカフェやイケメンバーが閉店になったという話もちらほら耳に入ってくる。お客様が減ったというよりは、イケメンがいるお店が増えすぎたのではないかと個人的には考えている。もうただ「イケメン」というだけでは、女性は足を向けないようだ。そこに何らかの付加価値が必要になってきたのかもしれない。

 先日行った別のイケメンバーでは、Kindleが店に置いてあった。客は電子書籍のサンプルをめくってみたり、バーテンダーとアプリで対戦したりして楽しむことができる。こうした「また行きたいと思えるような経験」が、大切になってきたのだろうか。

 さてこのワンコインイケメンバーにはどのような付加価値があるのだろう。やはり、「安くて気軽に通える」というところがポイントなのだと思う。500円なのだし、ちょっと寄ってみようかな、という敷居の低さで、お客様を呼び込める気がした。でも、本当にこのお値段でやっていけるのかしら……!?


(更新 2013/4/ 8 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh