母子家庭、4200円。

内藤みか
 先日の夜、私はとあるイケメンに相談をしていた。彼は大学生。モデルをやりつつカウンセラーを目指していて何でも相談受け付け中などと言っているので呼び出したのだった。

 目がくりくりの可愛い彼に私はアジアンバーでぶちまけていた。飲み放題、お好きなおつまみを2品ずつ頼めてひとり2000円ぽっきりというお財布に優しいバーである。

「なんでいつも私のところには、母子家庭で育った男の子ばかりが寄ってきちゃうのかな。別に私はかまわないんだけど、でもどうしてなんだろう」

 私自身が母子家庭である事をおおっぴらにしているから、彼らも近づいてきてくれるのだろうか。まさか年下との恋愛にシングルマザーであるということがウリになるとは自分でも思っていなかった。

「なんで? なんでこんな年上と遊んでくれるんだろ?」

 私にはさっぱりわからない。熟女趣味なのだろうか、それとも、お小遣いが欲しいとか? こうも母子家庭で育ったイケメンさんばかりが反応するのは、苦労して育ったお母さんの姿が重なるから、親切にしたくなるのだろうか。

「単にお小遣い目当てというだけじゃないと思いますよ」

 カウンセラーを目指すというだけあって彼はいろんな恋愛の事例を引っぱり出しては、いまどきの若者の恋愛観を私に解説してくれた。

「みかさんは、同い年の女の子とは全然違う魅力があるんですよ。単なる恋愛のいちゃいちゃした会話だけじゃなく、いろんな話ができるから、そこがすごく楽しいんだと思います。
 あとは、やっぱりお母さんと重なる部分はあるんじゃないですか。男ってお母さん好きですからね」

 なるほど、そうだったのか。親子ほど年が離れた男子との恋愛なんて望めないと嘆いていたけれど、むしろ親子ほど離れたからこそ私に運が向いてきたのかもしれない。 気を良くしている私に、彼は切り出してきた。

「みかさん、今度僕とディズニーランドに行きませんか?」

 何が起きたのかと耳を疑ったが彼は同じセリフを繰り返した。そしてさらに続ける。

「実は僕も母子家庭で育ったんですよ。家はずっと貧しくて......」

 これはいったいどうしたことだろう。桜の季節は終わったのに私は今、生涯初のモテ期が到来しているんだろうか!?

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