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サドベリースクール体験、6000円。

文・内藤みか

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 春休みに、息子はとあるオープンスクールに参加した。そこはサドベリースクールというところで、今、日本に数校ある。閑静な住宅地の一軒家が校舎で生徒数は10人ほど。カリキュラムがなく、好きなことを好きなだけするのがスタイルだ。昼食時間すら決まっておらず、空腹になったら好きな時間に食べる。参加費は6000円だった。

 息子はほぼ1日中パソコンをしていて、昼食はPCの前でとったという。なぜそんなに夢中になったのか理由はわかる。あまりに深夜までパソコンゲームをしていて、彼は今、私からPCを取り上げられているのだ。何日かぶりにマシンに触れられたので嬉しかったのだろう。

 スタッフさんは子どもに何の強制もしない。子ども達は勉強したいことを自分で見つけてきて大人はそれを応援するだけなのだ。教師という大人が生徒に宿題を押しつける普通の学校とはずいぶん違う。

 帰り道、息子はひどく気持ちが落ち着いていた。電車でも普段と同じように我先にと空席を探してどっかと座り込んだのに、私の席がないと知るやいなや立ち上がって代わってくれた。こんな思いやりを息子から受けるなんて初めてのことだった。いつもは私が立っていてもお構いなしにマンガに没頭しているというのに。

 そして息子は帰り道々「自分で責任を取るからPCを使わせてほしい」と訴えてきた。飽きるまでPCに触らせてほしい、気が済むまでやってみたいことがあるんだ、と。

「そんなに言うならいいわ」。熱意をぶつけてくる息子の変化に内心驚きながら、私はパソコンを久しぶりに解禁することを約束した。ダダをこねられるとこちらも意地になって渡したくなくなるけれど、席を譲ってもらった後なので、心情的にも息子に何かしてあげたくなっていたのだった。

 この学校は私の相談にも親身に乗ってくれた。「息子は数学はすごいですが、他の科目はからっきしで」と説明すると「好きなことを貫いているのだから、それでいいと思いますよ」とすぐさま認めてくれた。
 他の学校や塾に「数学以外の教科も頑張らないと」と言われ続けていた私は涙が出そうになった。ここは、ありのままの息子を素晴らしいと認めてくれる。

 できることなら、ここに通わせたい。でも・・・・15歳まで。息子はもう14歳。通えるのはたった1年間だけ。とても微妙な期間なので、迷うところだ。


(更新 2010/4/ 1 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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