先代の猫は立派な血統書付きだった。悪いことはまずしたことがなく、与えられる餌を規則正しく食べ、トイレの始末も完璧で、一生を家の中で、何の不満もなく(と思う)終えた。
それからすぐ、再び家に新しい猫がやってきた。
まず新聞の譲渡欄でとびっきりの美女を見つけ、もらいに行った。しかしすでに先客にもらわれた後で、残った数匹のうちの1匹、おまさ(写真奥、6歳)をもらったが、新聞の美女とは似ても似つかなかった。
かつての彼女は元気が良く、ネコドアに突進してぶち当たり、飛び出ていく猫だった。しかし今、彼女は食べては寝ての繰り返しで肥満街道を進みつつある。
次にもう1匹。譲渡会で出会ったイチゴ(同手前、4歳)は目のパッチリとした美女だが、何年たってもトイレの始末ができない。新しいタオルケットや柔らかいふわふわの布の上が殊の外お気に入りで、それを見つけると、すぐにチャッとおしっこをなさる。大きいほうはなぜかきちんとトイレでするのだが、砂をかけることは知らない。
もう1匹欲しくなり、もらいに行くと何匹かの猫がいた。目の前に来た1匹を抱き上げたところ、駐車中の車を動かせとクラクションが鳴り、選ぶ暇もなくその猫をもらって帰った。
彼、こいち(同中央、2歳)は猪突猛進、元気がいいと言えばいいけれど、やんちゃが過ぎる。先住のおっとりとした2匹の雌猫は、彼のターゲットと化し、ゆっくり眠る間もなく相手をさせられる。その彼が先日、マンションの8階の通路から5階の屋根に落ちたが、幸いにことなきを得た。
たまに3匹仲が良さそうにたむろしていると、ここぞとばかりカメラを向けるのだが、写すほどの顔じゃないと決してこちらに柔和な顔を見せてはくれません。
(右山素子さん 熊本県/73歳/無職)
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