一瞬の稲妻、天地を切り裂くような雷鳴。その瞬間、1匹のが一目散に納戸の隠れ家へ。遅れて2匹目も続く。
 最初の猫の名はニャン(写真左)。推定10歳のキジ白猫でイケメン。娘が勤務先の倉庫内で面倒を見ていたが、お泊まりと称し徐々に家族の一員になった。雷雨の時期に捨てられたのか、雷を極端に怖がる。
 性格はおっとりしていて、空っぽの餌皿の前で鳴きもせず、餌が入るまでじっと座っている。今でははやらない謙譲の美徳を地でいく。
 一日に数回、私のそばにすり寄ってくる。マッサージの合図だ。横に寝かせ、おなか周りをさすってやる。ゴロゴロとのどを鳴らし、目を細めている。
 猫も誤嚥するのを初めて知った。彼は水を飲んだ後などに時々誤嚥性の咳をする。人間同様、誤嚥したものを吐き出す力が薄れたら肺炎を起こすのだろうか。
 2匹目の名はプリン(6歳、同右)。段ボール箱に、餌付きで捨てられていたのを孫が見つけ、ひそかに自室で飼っていた。シャム系の雌猫で、なぜか虹彩の周りが白目のように白い。
 動物の世界ではそういう個体は襲われやすく、病気になりやすいと聞くが、そのせいで捨てられたのだろうか。白目であろうと猫に変わりはない。家で飼うことにした。
 孫は娘の子で、この親子には共通点がある。どちらも動物好き。加えて既成事実を作るのがうまい。
 プリンはベランダに出たい、膝の上に乗りたい、妻が寝そべっているソファに寝たいなど要求を出す。ただ、要求はニャーンだけなので、何を要求しているのか今もってわからない。
 娘たちは家を新築し、猫たちを置いて出ていった。もうこれ以上猫を拾ってくることはないと思うが、予断は許されない。

(松島啓さん 福岡県/70歳/無職)

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