マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ

 人は、相手の行動を見てその人を判断する。そして、イラッとしたり、「この人と合わない」「この人、うっとうしい」と、思ったりする。

 わたしも、同じだった。

 でも、これからは、

「行動の裏には、その人の価値観がある」

 ということを知っていなければ、人間関係がうまくいかないことをわかっていたほうがいい。

 逆にそのことをわかっていると、ごきげんでいられる。

 そのことを私に教えてくれたのが、講師仲間でふだんは商社で働くサラリーマン、アンディ中村さんだった。

 企業の人たちと話していると、よくこんな話題になる。

「最近の若い子たちは、メール一本で『会社を辞めます』って言うんだよなあ。かんべんしてほしいよ」

「なんでもメールで済まそうとしてほしくないよなあ」

 わたしも、「そのとおり」だと思って同感していた。

 でも、アンディ中村さんは違った。

「彼らは、悪気も何もないよ。それが当たり前だと思っているよ」

「どうして?」

「だって、彼らは、就職活動で必死でエントリーシート書いて、企業の会社説明会に行って、がんばってアプローチしても、メール1本で落とされる経験をしているんだから。メール1本で休んだり、会社を辞めることが悪いことだと思うはずないじゃないですか」

 目からウロコだった。

 原因は、わたしたちオトナが作っていた。

 そんな視点で見ると、いろいろ納得していなかったことが、納得できるようになっていた。

 たとえば、近所にステキな飲食店ができていて、若手メンバーに、

「あんなところにあんな店ができているよ」

 と、盛り上げるつもりで言ったにもかかわらず、

「でも、大谷さん、そこ、食べログで2.8ですよ」

 と、言われて、ムカッときたことがあった。

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