第21回 「まいっか」と言ってみる

大谷由里子
 50歳まで生きていると、ほんといろんなことがあった。

 やっぱり、つらいこと、悲しいこと、悔しいこともいっぱいあった。

 そして、なかなか浄化できないことだってある。

 そして、不思議なことに楽しかったこと、幸せだったことよりも、そんなことの記憶のほうが蘇ってきたりする。

 何人もの人にお金を貸した。

「お金を貸す時には、返ってこないと思いなさい」

 と、いろんな人に言われた。

 わかって貸したつもりだけれど、ふとその人が楽しそうに偉そうなことを言っていると、

「借りたお金も返さないで、よく言うよなあ」

 なんて思ってしまう。

 それどころか、

「わたしにお金返してくれないかなあ」

 と、思い出してしまったりする。

 仕事での裏切りなんて山ほどある。今から思うとわたしも甘かった。

「この人を信じて大丈夫」と、思っていたら、わたしの仕事をすべて持っていかれたり、お客さんに悪口を言われたり。

 お金でもめたこともあれば、ネットに悪口を書かれたこともある。

 正直、開き直って、「ぜんぶ、バラしてやる!!」などと感情的になったこともある。

 そのたびに、心のどこかで、

「そんなことをしても仕方ないよ」

「自分がみじめになるだけだよ」

 と、ささやいてくれるもうひとりのわたしがいた。

 とはいえ、「神様は、ちゃんと見てくれている」と、信じたい自分と、「やっぱり、神様なんていないかもしれない」と、思いそうになる自分の間で揺れる。

 そんな自分に悩んだこともあった。

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック