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"会社員中島"、最後の日の記録

文・中島かずき

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 ついにというか、とうとうというか、8月20日付けで双葉社を退社しました。
 当日の動きをメモしていたので、それを記します。

 
 昼すぎに出社し、会社の書類などは概ね片付けていたので、あとは自宅に送るものを梱包。
 その合間を縫って、各部署に挨拶回り。社長も役員も夏休みとってて結構お世話になった人達に挨拶が出来なかった。
「まだ、会社にくるだろう」と思われてるんだろうなあ。
 実際、仕事のつながりが完全に切れるわけではないし。

 新卒で入社してから28年と5ヶ月弱。すっかりサラリーマンとしての身体になっているので、なかなか自分がやめる実感がわかない。
 一昨日で51になったので、本当だったら定年まであと9年。ちゃんと勤め上げての定年退職だったらもう少し「ああ、終わるんだ」という感慨みたいなものを感じるのかなあ。
 7月一杯までは、結構忙しくて全力疾走している感じで、不意に走りやめるものだから、身体の感覚がついていってないのかもしれない。
 とりあえず後輩達と挨拶していく間に、自分の中にも無理矢理「辞める感」を作っている気もする。

 後輩達と話をしだすときりがない。
 気になる案件もいくつかあるし、何より一年自分が部長として引っ張っていた部には愛着もある。
 これだけの時間、ひとつの会社にいると、(しかも社員170人くらいだと、全員顔がわかるし、)もうひとつの家みたいな気分にはなる。
 ここにいたから今の自分がいるのも間違いない。
 特に最近は『告白』のヒットで、社内の雰囲気もよく、営業などの若い連中が伸びてきた感もあるので、仕事も面白かったんだよなあ。
 まあ、仕事が面白かったからこそ、居心地がよかったからこそ、ここまで二足のわらじを履き続けられたのだが。

 午後八時頃、荷造りと、最後の仕事の引き継ぎを終えて、会社を出る。
 なんとなく、社屋に向かって一礼する。
 ここまで自分を育ててくれたのは、間違いないから、感謝を込めて。
 その後、後任の後輩と二人、ちょっと呑みに行く。
 部のこと、会社の人間関係など。おお、まるで会社員だ。
 でも、それもこれでお終い。

 自分の人生でも節目になる日だと思ったので、少し詳細に書いておいたのです。会社員中島の最後の記録ですね。
 
 昼間会社に行くことが、時間的にも気分的にも、夜の書き物仕事とのメリハリをつけてくれていたことは間違いがないので、これからどんなペースで仕事をしていくのか、まだ手探りです。
 一週間全部、自分のペースで仕事をするのって想像がつかない。
 まあ、今が切羽詰まった〆切がないせいかもしれませんが。
 とにもかくにも、フルタイムライターとして、新しいスタートです。
  


(更新 2010/8/26 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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