<ライブレポート>salyu × salyu、コーラスワークの魅力が詰まったビルボードツアーがスタート

2022/08/24 14:46

<ライブレポート>salyu × salyu、コーラスワークの魅力が詰まったビルボードツアーがスタート
<ライブレポート>salyu × salyu、コーラスワークの魅力が詰まったビルボードツアーがスタート


 2022年8月18日、Salyuによるsalyu × salyu名義でのビルボードライブツアー【3人のヴォーカリストによるシュティムング】がBillboard Live TOKYOからスタートした。2011年に声を多重録音する手法を用いた新プロジェクトとして始動したsalyu × salyu。本稿では、約10年ぶりのワンマンライブとなったこのツアー初日の1stステージの模様をお届けする。
 ステージが暗転し、メンバーが登場するとセンターマイクを囲みライブがスタート。さっそくSalyu、加藤哉子、ヤマグチヒロコの3人の声が生み出す幻想的なハーモニーが会場に広がる。続く楽曲ではメトロノームが刻むテンポに合わせて、ギターと声、そしてエフェクトのかけられたパーカッションの音が重なっていく。細かく区切られた、一見バラバラな3人の歌唱パートが流れるように組み合わさることで新たなサウンドを生み出している。salyu × salyuの真骨頂ともいえるスタイルだ。
 MCでは、Salyuが改めてsalyu × salyuの復活に対する想いを話し、コロナ禍になってなかなか実現できなかったコーラスワークを通して「声の持っている力、人間の持っている面白さが共有できれば」と語った。
 iPhoneが出てきたばかりの頃に制作されたという楽曲では、当時と同じ楽器アプリ内のタンプーラの音源を使用。効果音的に使用される打楽器やパーカッション、そしてヴォーカル陣の高音ハーモニーの対比がまず印象に残る。どんどん音が増えていき、サウンドも分厚くなっていく。歌唱の力強さもどんどん際立ち、後半のエフェクトがかかったスキャットパートで一気に会場が異空間的な空気に変化していったのは観ていてゾクゾクした。
 メンバー紹介を経て、今回の復活に至った経緯をSalyuが説明。2021年に加藤哉子とヤマグチヒロコと共にテリー・ライリーのライブにコーラス隊として参加したことが大きなきっかけとなっていて「そのプロジェクトを体験して、改めて感動した」ことで同プロジェクト終了後も続けていきたいという想いが芽生えたという。
 続いて披露されたのは、そのテリー・ライリーが手掛けた作品だ。淡々とした、ビートのようなギターフレーズに、楽器のような声が機械的なサウンドを作り出し、そこにエモーショナルなリードヴォーカルが加わることで、どこかダークさも感じる空気が会場を飲み込み、そこからharuka nakamuraのカバー曲へと続く。前曲とは対照的な放牧的とも言える温かみのある優しい曲調で会場を包み込んだ。
 ライブ中盤では3人のクラップだけでビートを繰り出す、パーカッシブなセッションともいえるパフォーマンスが披露された。ただでさえ緻密で複雑なリズムが、どんどん展開していく様子はどこか民族的でスリリング。聴手として完全にステージに引き込まれていた。
 この楽曲はSalyuが「コロナ禍で歌が歌えない状況の中で思い出した」ことがきっかけで披露することにしたという。冒頭のMCでも触れていた「人間の面白さ」を感じた場面だった。
 そこから「歌を好きになったのは合唱団にいた経験から」という前置きを経て、プロジェクトスタート当時からsalyu × salyuの課題曲でもあった楽曲が披露される。美しいアカペラの旋律は、会場にまるで教会のような荘厳な雰囲気を作り出す。透き通るようなハイトーン、そして3人以上に聴こえる声のハーモニーの美しさはこの日一番だった。
 続いて披露されたのはメトロノームに合わせ淡々と、そしてじわじわと変化していく曲だ。それぞれの声が機械のパーツのようで、それらがピッタリとハマることで一つの芸術が生み出されている。さらに、アカペラからスタートし途中からメトロノームやギターが加わっていく楽曲では、繊細で細やかなボーカルワークによって想像力を掻き立てられるサウンドが展開されていく。
 本編ラストに演奏された楽曲ではSalyuが演奏するピアニカ、パーカッシブでノリの良いリズム、そしてその先を見据えた歌詞が、浮遊感のあるサウンドで聴手を包み込んでくれるかのような心地よさだ。最後に「good night, see you」をハモって本編は終了。メンバーを改めて紹介し、拍手喝采の中でステージを降りた。
 拍手はそのままアンコールを求めるクラップへと変化し、それに応えるようにメンバーはすぐにステージに再登場。まずは、アカペラのハモリからスタートするアレンジが施されたSalyuの代名詞ともなる楽曲が披露される。切なさも暖かさも感じるこの曲が終わると、MCへ。Salyuは「ありがとうございます。最後にもう一曲」「すべての作曲家、仲間、足を運んでくださった皆さんに感謝を込めて、古くから伝わるこの曲を」と感謝を伝えると、ステージの後ろのカーテンが開き、夜景をバックに最後の曲を披露した。3人の夢幻的なハーモニー、そしてそれを突き抜けてくるSalyuのパワフルなハイトーン。圧倒的なステージだった。
 Salyuは最後にもう一度オーディエンスに感謝を伝えると、再び拍手喝采に包まれながらステージを降り、この実験的でクリエイティブなステージは終演となった。
Text:Haruki Saito
Photo:渡邉隼

◎公演情報
【“3人のヴォーカリストによるシュティムング”】
2022年8月18日(木)東京・Billboard Live TOKYO ※終了
2022年8月24日(水)大阪・Billboard Live OSAKA
1st ステージ OPEN 17:00 / START 18:00
2nd ステージ OPEN 20:00 / START 21:00
サービスエリア 8,000円
カジュアルエリア 7,500円(1ドリンク付)
2022年9月23日(金・祝)神奈川・Billboard Live YOKOHAMA
1st ステージ OPEN 15:30 / START 16:30
2nd ステージ OPEN 18:30 / START 19:30
サービスエリア 8,000円
カジュアルエリア 7,500円(1ドリンク付)

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