『THE ALBUM』BLACKPINK(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『THE ALBUM』BLACKPINK(Album Review)

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『THE ALBUM』BLACKPINK(Album Review)

『THE ALBUM』BLACKPINK(Album Review)


 この夏、同韓国のボーイズ・グループBTSが「Dynamite」で米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”1位を獲得した。また、最新のアルバム・チャート“Billboard 200”では、SuperMの1stフル・アルバム『Super One』が2位に初登場するなど、K-POP勢がアメリカのチャートを圧巻している。

 ガールズ・グループとして最も功績を残しているのがBLACKPINKで、8月末にリリースしたばかりのシングル「Ice Cream」は、同Hot 100チャートで自己最高位、そしてK-POPガールズ・グループ歴代最高位の13位を記録。惜しくもTOP10入りは逃したが、前シングル「How You Like That」(33位)に続き2曲連続のTOP40入りを果たしている。

 本作『THE ALBUM』は、そのヒット・シングル2曲を含むBLACKPINK初のフル・アルバム。全8曲とミニ・アルバムに近い容量ではあるが、その分1曲1曲のインパクトは強い。昨今はストリーミングを稼ぐためボリュームを増やすアーティストが増えているが、アナログ時代の名盤を振り返るとこのくらいが妥当といえる。

 記念すべきデビュー・アルバムのオープニングを飾るのは、前述の「How You Like That」。お馴染み、THE BLACK LABELのR.TeeとTEDDYを制作陣に迎えた彼女たち“らしい”ヒップ・ポップで、ハードなトラックにラップを絡ませたスタイルは、かつての2NE1を彷彿させる。ミュージック・ビデオの監督は、その2NE1やBIGBANGの作品で知られるソヒョンスンで、前シングル「Ddu-DuDdu-Du」(2018年)~「Kill This Love」(2019年)も手掛けている。同ビデオは、YouTube史上最速の公開32時間で1億回再生を突破し、アルバムの発売までには5億6,000万回に達した。8月末に開催した【2020 MTV Video Music Awards】では、韓国のガールズ・グループ初となる<最優秀サマーソング賞>を受賞している。

 最高位を更新した次曲「Ice Cream」は、レゲエを下敷きにしたチルアウト系のエレポップ。程よくユルいボーカル・ワークも心地よく、諸々夏らしさを演出している。ゲストとして参加したセレーナ・ゴメスとの相性も良く、彼女のファン含めさらに広範な層からの支持を得たのも納得できる出来栄え。サウンド、ボーカルのみならず、ビデオも超女子力高め。曲のイメージに直結したパステル・カラーのファンシーな雰囲気で、メンバーはもちろん、アイスクリーム屋さんに扮したセレーナの髪をかき上げるシーンがため息つくほどかわいい。その中毒性の高さからか、再生回数は公開約1か月で3億回を突破している。なお、この曲の制作陣には、アリアナ・グランデ初のNo.1ヒット「thank u, next」(2018年)と同じメンバーのトミー・ブラウンとビクトリア・モネ、そしてアリアナ本人がクレジットされている。

 3曲目の「Pretty Savage」は、エキゾチックな雰囲気を醸すポップに寄せたトラップ。タイトルに含まれているからかミーガン・ジー・スタリオンのNo.1ヒット「Savage」を意識したともとれるフレーズもチラホラみられた。次の「Bet You Wanna」は、そのミーガンをフィーチャーした「WAP」がNo.1に輝いたばかりのカーディ・Bをゲストに迎えた、全英詞の意欲作。とはいえ、「WAP」にようなエグさはないレトロ感覚のキュートなポップ・チューンで、ドギついラップもトーンを落として心なしかガーリーにアレンジしている。自身のパートについて「クリーンに仕上げるのが難しかった」とコメントしていたのも、そういうニュアンスが含まれているのだろう。制作陣には、前述のトミー・ブラウンに加え、ワンリパブリックのライアン・テダーも名前もある。

 5曲目の「Lovesick Girls」は、2010年代中期にブームを起こしたフロア映えのトロピカル・ハウスっぽい曲。アメリカの流行からみると若干取り残された感はあるが、K-POPらしさは際立っている。それもそのはず、同曲のソングライターにはメンバーのジスとジェニーが携わっているそう。叙情的な乙女心が綴られた歌詞も、彼女たちが制作に参加したからこその賜物……か?予告映像だけで初日1,000万再生を記録したMVも、ネオン・ライト瞬く都会を舞台にクールなダンスを繰り広げる構成が洒落ている。

 鼓笛や琴の音色と広がりあるフック、独特のリズムでインパクトを放つ「Crazy Over You」、アリアナ・グランデの「7 rings」を引用したような「Love to Hate Me」、歌唱力を存分にアプローチした本作唯一のメロウ・チューン「You Never Know」いずれもシングルで十分通用するクオリティ。計算高さも「外さない」完成度の高さから否定しようがない。その自信の表れか、カバー・アートも黒地にピンクの王冠というシンプルだが挑発的な仕上がりに。

 プレオーダー6日で80万枚を突破し、アルバム発売までにミリオンを記録したと報じられている本作『THE ALBUM』。米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”での最高位は昨年発表したEP『Kill This Love』の24位で、本作でその記録を更新することは間違いないと思われる。首位デビューが実現すれば、K-POPガールズ・グループとしては初の快挙達成。これでまた勢いが増すだろう。

Text: 本家 一成


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