『ハーフ・リトゥン・ストーリー』ヘイリー・スタインフェルド(EP Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『ハーフ・リトゥン・ストーリー』ヘイリー・スタインフェルド(EP Review)

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『ハーフ・リトゥン・ストーリー』ヘイリー・スタインフェルド(EP Review)

『ハーフ・リトゥン・ストーリー』ヘイリー・スタインフェルド(EP Review)


 1996年生まれ、米カリフォルニア州サウザンド・オークス出身。愛らしいルックスとフェミニンなボーカルで、日本でも高い人気を誇るポップ・シンガー=ヘイリー・スタインフェルドが、およそ4年半ぶりとなるEP『ハーフ・リトゥン・ストーリー』を発表した。本作は、米LAのエレクトロ・デュオ=グレイと、EDM界の貴公子・ゼッドによるコラボレーション「Starving」(全米12位 / 全英5位)含む『ヘイズ』に続く2作目のミニ・アルバムで、2曲のシングルが先行リリースされている。

 1stシングルの「Wrong Direction」は、マドンナやニッキー・ミナージュ、デュア・リパといったビッグネームを手掛けるKozによるプロデュース曲。Kozは、アルバムのトータル・プロデュースも担当している。ソングライターには、ザ・チェインスモーカーズの「Kanye」(2014年)や、マシュメロとがオーケーによるコラボ曲「Chasing Colors」(2017年)等をヒットさせたスカイラー・ストーンストリートが参加した。

 「Wrong Direction」は、気持ちが離れてしまった“誰か”への想いを断ち切れないでいる、未練と後悔の失恋曲。一説によると、以前交際していたワン・ダイレクションのナイル・ホーランについて歌ったものだとされているが、2年前の破局を掘り起こしてるとしたら、なかなか執念深い。サウンドも、切ない乙女の心情をまんま音にした、メランコリックなバラードに仕上げている。女優魂をみせつけた“表情勝負”のミュージック・ビデオでは、そのもどかしい感情を見事再現。

 一転、2ndシングルの「Love You's」は、米ビルボード・ダンス・クラブ・チャートで1位を記録したアニー・レノックスの「No More I Love You's」(1995年)をそのまま引用した、キュートなエレクトロ・ポップ。とはいえ、こちらも歌詞には別れた相手への欝憤や未練が込められており、前曲の続編ともいえる内容になっている。自身も監督として参加したモノクロの洒落たMVでは、個性的なファッションで様々な表情をみせてくれる。過去のビデオの中でも、1、2位を争う出来栄えでは?

 2曲目の「Your Name Hurts」は、先行シングル2曲とはまた違ったテイストの、レトロな雰囲気の3連ミディアム。ソングライターには、ロウェルやキャロライン・ペネルといった女性シンガーソングライター等が参加している。タイトルが示す通り、この曲と続く「End This (L.O.V.E.)」は、傷つけられた“誰か”への失恋ソング。「End This」は、ナット・キング・コールの代表曲「L-O-V-E」(1964年)を一部サンプリングしたマイナー調のエレポップで、これまでとはまた違う顔が伺えるボーカルワークも聴きどころといえる。

 4曲目の「Man Up」は、リアーナやメアリー・J.ブライジ等、主にはR&Bシンガーを手がけるDマイルによるプロデュース曲。ソングライターには、今年セレーナ・ゴメスの「Rare」やトロイ・シヴァンの「Take Yourself Home」などをヒットさせたリーランドがクレジットされている。途中、ラップをからませたようなフレーズもあり、この曲もまた、過去の作品にはなかったタイプの意欲作といえるだろう。同曲含め、本作は5曲全てが傷心をテーマとしている。傷ついた人形(おそらくヘイリー)をカバー・アートに起用したことからも、そういった趣旨の基作られたのだろう。

 今夏には、本作に続く2020年第二弾EPを発表するそうで、2つのミニ・アルバムを軸に、自身初のスタジオ・アルバムを完成させる予定。

Text: 本家 一成


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