4人体制になり、ますますアーティスト性を高めたフィフス・ハーモニーの初セルフ・タイトル作(Album Review)
4人体制になり、ますますアーティスト性を高めたフィフス・ハーモニーの初セルフ・タイトル作(Album Review)

 ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニー初のセルフ・タイトルとなる新作『フィフス・ハーモニー』が、2017年8月25日にリリースされた。本作は、2016年5月にリリースした2ndアルバム『7/27』からおよそ1年振り、通算3作目のスタジオ・アルバムで、2016年12月にカミラ・カベロが脱退し、4人体制になってから初のアルバムとなる。

 本作からは、6月2日にリリースされ、世界25か国以上のTunesチャートでNo.1を獲得した先行シングル「ダウンfeat.グッチ・メイン」が、スマッシュ・ヒットを記録。この曲は、自身の大ヒット曲「ワーク・フロム・ホームfeat.タイ・ダラー・サイン」の続編ともいえるダンス・チューンで、ミュージック・ビデオでも4人のセクシーなフォーメーション・ダンスを再現している。

 アルバムの発売直前、8月10日には、リード・トラックとして「エンジェル」の音源とビデオが公開された。こちらは、トラップを取り入れたヒップホップ色の強いナンバーで、これまでにないクールな5Hが堪能できる。この2曲からも予想できるように、本作は“売れ線”というよりは、アーティスト性を高めた内容に仕上がっている。前2作のような“セクシーさ”を全面に出したものではなく、4人の顔が二重に写し出されたアートタッチなジャケットからも、そういったコンセプトが伺える。

 プロデューサーには、「ワーク・フロム・ホーム」を担当したAmmoや、スクリレックスやザ・チェインスモーカーズなどのリミックスを手掛けるDJ・ダラス・ケイ、そして、そのスクリレックスもメンバーにクレジットされている。その他には、デビュー・アルバム『リフレクション』や、アリアナ・グランデの大ヒット作『デンジャラス・ウーマン』などを手掛けたトミー・ブラウンや、ブルーノ・マーズの「24K・マジック」を大ヒットさせた、ザ・ステレオタイプスなどが参加している。

 大ヒット・シングル「ダウン」で幕を開け、ミッドテンポのレゲエ・チューン「ヒー・ライク・ザット」に繋げる。この曲は、前作からのシングル「オール・イン・マイ・ヘッド(フレックス)feat.フェティ・ワップ」のような、夏らしいナンバーだ。「メイク・ユー・マッド」も、ダンスホールやトロピカルハウスといった、今夏の流行を取り入れたサマー・チューン。ドライブなどにも最適。

 「ソースド・アップ」は、「ダウン」や「ワーク・フロム・ホーム」のような、5Hの王道ともいえる中毒性のあるR&Bソング。ピアノベースの「デリバー」も、フィフス・ハーモニーらしさが活かされた、横ノリのグルーヴ。「エンジェル」と「ロンリー・ナイト」は、ヒップホップを意識したナンバーで、所々で聴かせる4人のハーモニーがサウンドの重たさを緩和させる。ファルセットを使って、優しく包み込むように歌う「ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー」や「メッシー」などのメロウ・チューンも最高だ。カミラが抜けても、何ら問題なくいい作品が作れるということを、証明できただろう。

 国内盤は、9月13日に発売予定。4人が完全無視を貫いている元メンバー、カミラ・カベロのデビュー・アルバム『ザ・ハーティング、ザ・ヒーリング、ザ・ラビング』は、9月22日にリリースされる。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『フィフス・ハーモニー』
フィフス・ハーモニー
2017/8/25 RELEASE