【中編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][★Gi Gi Giraffe][★PAELLAS][chelmico][Ancient Youth Club] 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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【中編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][★Gi Gi Giraffe][★PAELLAS][chelmico][Ancient Youth Club]

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【中編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][★Gi Gi Giraffe][★PAELLAS][chelmico][Ancient Youth Club]

【中編】<2017年注目のニューカマー5組>[yahyel][★Gi Gi Giraffe][★PAELLAS][chelmico][Ancient Youth Club]

<[Gi Gi Giraffe]自由気ままな勢いで“新しい懐かしさ”を投げ渡すファンク・ポップ・バンド>

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 人は10代のころによく聴いた音楽を一生聴き続けるという。なにも音楽だけではない。感性の最も豊かだとされる時期に触れたもの、目にしたものはいつまでも鮮やかさを保ったまま頭の中に残り、その人自身を色づける要素となる。だがどうだろう。数年前、あるいは数十年前の自分が持っていた感性だけに今を縛られるのは、なんとも悔しくないだろうか。そんな人にこそ薦めたいバンドがいる。Gi Gi Giraffeという。


 大学の「ビートルズサークル」で知り合ったという山本啓遊(vo,g)、奥泉怜(b)、UK(dr)で結成されたこの3ピースバンド。2011年ごろから度々ライブを行っていたが活動休止状態となり、その後、山本による宅録プロジェクトとして2015年8月に自主制作盤『Home Made Works』をリリース。2016年に再びバンドとしての活動をスタートさせ、yahyelと同様「ROOKIE A GO-GO」にも出演。11月にはアルバム『Gi Gi Giraffe』を初の全国流通盤としてリリースした。


 バンド名の響きや宅録プロジェクトとしての過去を持つ経歴、ブルーの背景にオレンジ色で“ジラフ”のシルエットが浮かぶアルバム・ジャケットなどからは、ひどく気取った印象を受けるかもしれない。確かにシャレてはいる。だが彼らは力の抜き方を知っているようだ。ラジオ放送のようにローファイでファンクなサウンドは生暖かく、ヴォーカルには投げやり感があり、たまに入るコーラスはひどく呑気に感じられる。歌詞は全編英語だが、許容か諦念か、訴えるでも嘆くでもなく、独り言のように綴られる言葉には優しく頷いてあげたくなる。


 ただそんな余裕を見せつけながらも、ほどよいグルーヴ感のあるリズム隊に粒の目立つギター、不安定ながらもフックのあるメロディ、確かな演奏力で前進し、決して停滞しないのがGi Gi Giraffe。ポケットに手を突っ込んだまま、思いつきでスキップしたり走ったりするような、自由気ままな勢いがある。かと思えば軽めのポップ・サウンドを鳴らしたり、アコースティックで展開してみせたりと、音楽的な多様さもある上、一曲一曲が珍しいほどコンパクトなため聴きやすい。むしろ物足りないくらいだ。何回も「再生」を押したくなる。この懐かしさは新しい。


◎最新リリース情報
アルバム『Gi Gi Giraffe』
2016/11/16 RELEASE


◎ライブ情報
【DANCE DANCE DANCE?】
2017年01月09日(月・祝) 青山・月見ル君ヲ思フ
with/MONO NO AWARE、sui sui duck、ゆnovation (O.A.)


【Kool Thing】
2017年01月13日(金) 下北沢・mona records
with/Black Shower、Prince Graves、Luby Sparks、I Saw You Yesterday、GABA


【The Taupe 1st Album「セレンテラジン」リリースパーティー『サンフランシスコ』】
2017年01月28日(火)新宿JAM
with/The Taupe、THIS IS JAPAN、Walkings、yukino chaos


◎「Naked Girl」MV:http://youtu.be/8gr76_lGndM


<[PAELLAS]東京のインディ・シーンに構築される軽やかでエロティックな一つのジャンル>


 東京のインディ・シーンに新しい風を吹かせ始めているPAELLAS――などという紹介が一番わかりやすいかもしれない。だがメインストリームのど真ん中、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、ワン・ダイレクション(One Direction)、ドレイク(Drake)などからも大きな影響を受け、「枠にはまらず日本でも海外でも売れたい」と明言する彼らを一つのシーンにねじ込むべきではないだろう。


 現在は東京に拠点を置き、MATTON(vo)、bisshi(b)、msd.(sp)、Satoshi Anan(g)、そしてサポートメンバーにRyosuke Takahashi(dr/ex.Psysalia Psysalis Psyche)を加えた5人で活動しているPAELLASだが、バンド自体は2009年、大阪の大学でMATTONとbisshiを中心に結成。卒業時期に合わせて他のメンバーが脱退したため、2人がSoundCloudに楽曲をアップしていたところレーベルから声がかかり、2014年に7inchシングル『Cat Out』をリリース。2015年には【SUMMER SONIC】におけるコンテスト【出れんの!?サマソニ】に出演し、2016年はシングル1枚、EP2枚、そして1stアルバム『Pressure』と、怒涛のリリース・ラッシュ・イヤーになった。


 サウンドにはメインストリームにおけるキャッチーさを絶妙なバランスで残しつつ、シティ・ポップ、R&B、ニュー・ウェーブなど様々なジャンルの要素を組み込んでおり、ギターコードの駆け抜けるような楽曲から、4つ打ちのリズムが心地よいミニマル・ミュージック的構成の楽曲、爽やかな憂いを孕んだシンセの目立つ楽曲までバラエティに富んでいる。そんなPAELLASに一貫しているのは、ビル街の見えるハイウェイを走り抜けるかのような軽やさと、そのドライブ中に訪れる深い夜のごとくエロティックな雰囲気だ。


 PAELLASはこれまで、Satoshi Anan個人の楽曲を含め、ランジェリー・ブランド「Peach John」や、セレクト・ショップ「United Arrows」「Jackpot」のCMに起用されているが、バンド全体としてのファッション・アイコン的存在感も強い。ラフでありながら上品なそのスタイルと、囁きの中に確固たる意思の強さを伺わせるようなヴォーカル、そして楽曲そのものとが合わさることにより、軽やかでエロティックな雰囲気は“PAELLAS”という一つのジャンルに昇華されているようだ。広がりを見せる日もそう遠くはない。


◎最新リリース情報
アルバム『Pressure』
2016/12/21 RELEASE


◎ツアー情報
【PAELLAS“Pressure”Release Tour】
2017年2月05日(日)大阪・Club STOMP
2017年2月12日(日)福岡・Kieth Flack
2017年2月13日(月)渋谷・club asia


◎「Fire」MV:https://youtu.be/j1GfEX8UqJI


◎オフィシャルHP:http://bit.ly/2iyrgr3


※【後編】へ続く


テキスト:佐藤悠香


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