【プレイバック2016】ポール・マッカートニー編~新ツアー開催とソロ・キャリアを網羅したベスト盤の発表、古巣キャピトルへの復帰も
【プレイバック2016】ポール・マッカートニー編~新ツアー開催とソロ・キャリアを網羅したベスト盤の発表、古巣キャピトルへの復帰も

 ポール・マッカートニーは偉大なるロック・レジェンドであると同時に、20世紀を代表するポップスターでもある。これら2つの顔を持ちあわせたアーティストは、デヴィッド・ボウイが逝ってしまった今、ポール以外には存在しないといっても、決して大袈裟ではないだろう。

 2016年のポール・マッカートニーはアメリカ&ヨーロッパ・ツアー【One On One Tour】と自身のソロ・キャリアを網羅したベスト盤リリースの二本柱がハイライトとなる。こう書いてしまうと、あまり派手な動きがなかった1年だったとつい錯覚してしまうのが、長年のポール・ファンの悪いところ。ポールは今年で74歳だ。数か月かけてアメリカ&ヨーロッパで30以上のコンサートをおこなったり、その合間にフェスに出演したりという活動は、どう考えても「派手」で「精力的」すぎる音楽活動である。そのことを念頭におきつつ、改めてポールの2016年を振り返ってみたい。  

 3月、【One On One Tour】開催発表と同時にビートルズ時代からポールのサウンドを支えた“第2の父親”の訃報が飛び込んできた。プロデューサーのジョージ・マーティンが3月8日に90歳でこの世を去ったのだ。ビートルズのほぼ全作品のプロデュースを手がけたことで、ファンの間では「5人目のビートルズ」としても愛されていたマーティンの死を受け、ポールは自身のホームページを通じて、在りし日のエピソードを交えながら追悼の長文を寄せた。マーティン死去の影響があったかは定かではないが、ポールは【One On One Tour】のキックオフ公演となった4月13日、ソロ・キャリアでは初となるビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」をオープニング・ナンバーに起用、さらにデビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥー」も初披露している。同ツアーは4月から10月にかけて、北米、南米、ヨーロッパ、そしてふたたび北米に戻るというスケジュールでおこなわれ、ヨーロッパ・ツアー中の6月にはオランダとベルギーのフェスにも出演を果たしている。さらに、フェスといえば、“奇跡のフェス”として2016年の音楽メディアを賑わせた10月の【Desert Trip】も忘れてはならない。ロックの象徴6アーティストが集結する同フェスにおいて、ポールはニール・ヤングと同日出演を果たし、ステージ上で一緒にビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、そしてジョンの「平和を我等に」をプレイしている。  

 1年の半分以上をツアー期間としながらも、6月にはソロ・キャリアを網羅したベスト盤『ピュア・マッカートニー』をリリース。そして9月にはビートルズ関連では今年最大のトピックとなるドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』も公開された。同作は日本国内でも12月21日にBlu-ray&DVDがリリースされたばかり。映画館で見逃した人は、この年末年始用のエンタテイメントとして手にしてみるのも良いだろう。  

 そして最後に、ポールは大御所でありながら、WebやSNSを駆使したプロモーションが非常に盛んなアーティストでもある。もちろん、すべてがポール自身によるものではないだろうが、積極的にSNSでキャンペーンをおこなったり、今年後半に大流行した“マネキン・チャレンジ”にノリノリで参加してみたりなど、新しい流れに好反応を示し、それらを受け入れる姿勢こそ、ポールがロック・レジェンドという存在だけにとどまらず、現役のポップスターであり続ける所以だ。ちなみに、現在は、ホリデーシーズンにあわせて、ポールの「ぬり絵」がダウンロードできるようになっているので、興味のある人はぜひチャレンジしてみては? 完成したらSNSへの投稿も忘れずに。  

 2017年のスケジュールはまだ発表されていないが、今年7月にはビートルズ時代の古巣となるキャピトル・レコードとのワールドワイド契約の締結も発表されており、過去作品のリイシューはもちろん、ニューアルバムのリリースも計画されているとのこと。そして、日本のファンはもちろん何度でも、あの“生”の感動を味わいたいと願っている。いずれにしても、ポールが“長い沈黙”をすることはないだろう。次のニュースを楽しみに待とう。