ユニバーサルな協力関係から生み出された絹のような“現代のフォークロア”。メロディ・ガルドー&ピエール・アルデニ東京公演レポート
ユニバーサルな協力関係から生み出された絹のような“現代のフォークロア”。メロディ・ガルドー&ピエール・アルデニ東京公演レポート

 2016年10月14日、メロディ・ガルドー&ピエール・アルデニの来日公演が六本木・ビルボードライブ東京にて行われた。

 ブルージィかつジャジーなアダルト表現を鋭意提出する米国人自作派のメロディ・ガルドーと、リスボン在住のブラジル人洒脱シンガー・ソングライターのピエール・アルデニ。まずは、ジェシー・ハリスの紹介で始まった、国籍を超えて信頼しあう二人のソング・ライターの協調関係があり。それを軸に、ベーシストのダヂとピアニストのフィリッペ・バーデン・パウエルという敏腕のブラジル人奏者と一人の米国人辣腕ギター/カヴァキーニョ奏者(ガルドーのバンドにも在籍するミチェル・ロング)が集い、間が活かされた墨絵のような手作り表現が作られる。それはまさに、絹の手触りを差し出す。

 そして、ガルドーとアルデニはほぼデュエットと言っていい形で、歌声を笑みとともに重ね合う。結果、滋味や含みがすうっと広がり、音楽の綾が聞き手を優しく包み込む。もちろん、そうした表現はブラジル音楽の魔法の回路を介さないと現れぬもの。だが、様々な経験と見聞を持つガルドーたちによる豊穣な曲群はもう少し大きな像もまた聞き手に与える。言うなれば、それは<現代都会生活者のフォークロア>などとも呼びたくなるものか。なるほど、そこにはシャンソンやファドなど、もう一つのストーリー性豊かな市民音楽の感触をも感じさせる局面を抱える。

 自然体でありながら、かようにガルドーとアルデニたちが編み上げる音楽は多大な情報量や奥行きを持つ。そして、げんざい地に足をつけたユニヴァーサルな音楽はどうあるべきかという課題にも、彼女たちは一つの確かな答えを出している。

 なお、メロディ・ガルドー&ピエール・アルデニの公演は本日10月15日にもビルボードライブ東京にて開催。10月17日にはビルボードライブ大阪でも公演が行われる。

文:佐藤英輔

◎今後の公演情報
【メロディー・ガルドー&ピエール・アルデニ】
featuring ミッチェル・ロング、フィリッペ・バーデン・パウエル&ダヂ

ビルボードライブ東京
2016年10月15日(土)
1stステージ開場17:00 開演18:00
2ndステージ開場20:00 開演21:00

ビルボードライブ大阪
2016年10月17日(月)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30

詳細:http://www.billboard-live.com/