世界初の開放F1.8の魚眼レンズ

 大口径、開放F値F1.8の対角線魚眼レンズの登場だ。画角180度の魚眼レンズでは世界初の大口径になるもので、マイクロフォーサーズ規格だからこそ可能になった象徴的な製品ともいえる。
 オリンパスのフォーサーズ用レンズにはZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheyeがあるが、周辺域の色にじみが目立つ。ところがこのレンズでは開放F値が1段以上明るく、小型化されているにもかかわらず、そうした収差はいっさい気にならないのは驚きだ。マクロ領域の性能にも優れ、最短撮影距離は0.12m。レンズ先端から被写体までの距離は2.5cmほどで、被写体と衝突寸前という感じになるが、従来の魚眼レンズとはまったく異なる写真制作ができる。



被写界深度の深いレンズだが、マクロ領域ではボケも楽しめる。この撮影ではやや絞ることになったが、背景に人が多い条件でも、ボカして省略できた●OM-D E-M1・AE(絞りf4・8000分の1秒・-1補正)・ISO200・AWB・RAW
被写界深度の深いレンズだが、マクロ領域ではボケも楽しめる。この撮影ではやや絞ることになったが、背景に人が多い条件でも、ボカして省略できた●OM-D E-M1・AE(絞りf4・8000分の1秒・-1補正)・ISO200・AWB・RAW



デザイン
開放F1.8と大口径なのに小型・軽量。スマートである。ズイコーのお家芸ともいえる距離目盛りはないのが惜しいが、このレンズの性格からみて実用上の問題はない。防塵・防滴構造も採用している

使用感・操作感
最短撮影距離が短いので、従来の対角線魚眼レンズとは異なる写真制作が期待できる。ただし、ワーキングディスタンスが短くライティングには工夫が必要になることもあるだろう

描写性
対角線魚眼レンズの中では間違いなくトップクラスの画質。開放からコントラストが高く、周辺域まで安定した描写を誇る。絞り値による性能変化は感じない

◆ 赤城耕一


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●焦点距離・F値:8mm・F1.8●レンズ構成:15群17枚(非球面レンズ1枚、スーパーEDレンズ3枚、EDレンズ2枚、スーパーHRレンズ1枚、HRレンズ2枚)●最短撮影距離:0.12m●最大撮影倍率:0.20倍●画角:180°●フィルター:装着不可●大きさ・重さ:Φ62×80mm・315g●価格:14万5800円(実売11万6640円)