レンジファインダー用大口径レンズ

 ここのところ一眼レフ用の交換レンズに力を入れていたコシナとカール ツァイス協業だが、久しぶりに新型のZMマウント(ライカMマウント互換)レンズが登場。35mmF1.4だが、名称はビオゴンからディスタゴンになった。35mmのレンジファインダー用交換レンズにディスタゴンが冠されるのは初。ビオゴンは主に対称型レンズにつけられ、ディスタゴンはレトロフォーカスタイプの広角レンズ、つまり一眼レフ用のレンズにつけられるのが一般的。過去、例外としてコンタックスGシリーズ用交換レンズにプラナーT*35mmF2が存在したくらいだが、最近ではOtusシリーズなどの新しい方向性もあり、レンズタイプ別の厳密な決まりがあるわけでもないようだ。
 このレンズは非球面レンズ2枚を含む7群10枚構成で収差補正に追い込みをかけ、フローティング(リアフォーカス)で近接撮影での性能を維持している。その高性能ぶりは実写していて認識できた。
 高画素機を視野に入れた高性能化を目指したものだが、最近ではソニーαシリーズに、アダプターを介してMマウントレンズを使うのも定番だからうなずける進化なのだろう。



絞り開放。合焦点はシャープな像だが不思議なことに被写界深度は深く見える。円形のボケは独特な形だが、二線ボケはない。全体に潤いを感じる画像はツァイスZM共通。開放絞りではライブビューやEVFを使えば被写界深度確認も可能。ソニーα7系ユーザーにも使いやすいレンズだ●Leica M[Typ240]・AE(絞りf1.4・60分の1秒・−0.7補正)・ISO400・AWB・RAW
絞り開放。合焦点はシャープな像だが不思議なことに被写界深度は深く見える。円形のボケは独特な形だが、二線ボケはない。全体に潤いを感じる画像はツァイスZM共通。開放絞りではライブビューやEVFを使えば被写界深度確認も可能。ソニーα7系ユーザーにも使いやすいレンズだ●Leica M[Typ240]・AE(絞りf1.4・60分の1秒・−0.7補正)・ISO400・AWB・RAW



デザイン
中望遠レンズと見まがうほどの長さだが、このあたりにツァイスこだわりの光学設計の秘密がありそうだ。鏡胴の仕上げは美しく、絞りの指標はZM共通の1/3刻みで緻密さも表している

使用感・操作感
フローティング機構だと、ともすればフォーカスシングがぎくしゃくしがちだが、滑らかな動きに感激する。鏡胴は太めだがMシリーズライカでも距離計のケラレはなく安心して使える

描写性
絞りによる性能変化は感じず開放からシャープ。周辺光量の低下も少ない。ライカのズミルックス M F1.4/35mm ASPH.(実売税込み57万2390~63万7200円)は渋めの調子だが、こちらは透明感のある描写。20万円を超えるがライカと比べればコストパフォーマンスは優秀

◆赤城耕一


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●焦点距離・F値:35mmF1.4●レンズ構成:7群10枚(異常分散ガラス3枚、非球面レンズ2枚)●最短撮影距離:0.7m●最大撮影倍率:1:16.9●画角:62°●フィルター径:Φ49mm●マウント:ZM(ライカMマウント互換)●大きさ・重さ:Φ60.6×65.2mm・381g●価格(税別):21万8000円(予約価格 税込み23万5390円)