再び夫を問い詰めました。最初は否定していたものの、前回よりも簡単に、「白状」しました。夫は土下座して謝りました。

 今回は相手のことも聞きました。聞けば、もとは夫の顧問先の担当者のような立場の人だったのですが、「サラリーマンをやめて独立したい」というような個人的な相談もされるようになったそうです。夫がいろいろアドバイスし、彼女は会社を辞めて独立し、その時夫が何百万かお金も出したりして、今は小さい店の共同経営者という名の"雇われマダム"のようなことをしている人とのことでした。年齢も40に手が届く寸前で、登美子さんより若干は若いものの、大差ない範囲でした。

 一時は、もう離婚しかない、と思った登美子さんでしたが、気分の波があり、冷静な時には子どもがいるから離婚しないほうがいいと思います。その彼女と3人で会い、もう二度と会わないことや慰謝料を払ってもらうことを約束しました。

 夫も「あんなおばさんによろめいていた自分は何だったのかわからない」などと言いますし、目の前で慰謝料請求をしたときも何も言わなかったので、こんどこそ夫は反省してくれている、と思って、どうにか矛を収めました。

 しかし、残念ながら、やはりまだ不穏な雰囲気が続いたのです。夫を問い詰めました。今度はすぐに認めました。と同時に、

「登美子には申し訳ないが、俺は彼女とは別れられない。登美子のことも好きだけど、彼女のことも忘れられないんだ。それに俺が手伝わなければ彼女の店はつぶれて権利がとられちゃう。そうしたら出資した金だって返ってこないだろう」

と言い始めました。

 何日もの間、眠れず、食べられず、茫然自失な日が続きましたが、5歳になる息子が、

「ママ~、おなかすいた」

というのを聞いて、我に返るとともに、この子を守らなきゃ、そのためには別れさせなきゃ、と思ったそうです。

 そう思うと、猛然とネットで調べ始め、こういう時の事例や、対処法を漁るように見ていたら、別れさせ屋のことを知り、これだ!と思ったそうです。

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妻の誤算「夫を相手にする人なんかいない」?