先に来た人が優先的に撮影するにしても、その後は譲り合って撮影すればいいものを、できない人も多いようだ。
「待ち時間も含めると長丁場になりますから、隣の人に会釈くらいはしたほうがいいのですが、こちらが挨拶しても無視する人が結構いますね」
また、冨塚さんは「写真は人によって撮る目的や狙いが違う」ことを念頭に置くべきだということを強調する。
「ワイドレンズで全景を撮る人もいれば、望遠で雲の動きを狙う人もいます。いろんな人たちがさまざまな角度や尺度で撮影していることを忘れてはなりません。特に注意したいのがバルブ撮影です」
十里木高原など、北極星を中心にした星の軌跡と富士山を絡めて撮影できるスポットがあり、ここで夜間に長時間露光を行っている人も多い。
「ヘッドライトをつける人もいるのですが、バルブ撮影時に光が入ってしまう可能性があります。夜間撮影時は、現場に行く前にどう撮るかを決めて機材をセットしていくべきで、現場ではスマートフォンの明かりで手元を照らして調整するくらいの配慮を」
最近、富士山頂と満月が重なるパール富士も人気だが、「昔はどの場所で何時ごろに撮影できるかを算出するのが大変でしたが、今はパソコンで計算したり、誰かがインターネットで流したりしてすぐにわかります。現場にパソコンを持参する人も多いです」
ダイヤモンド富士やパール富士は時間と場所を変えれば1日に数回シャッターチャンスがあるため、撮影愛好家が大移動することも珍しくない。
富士山の撮影スポットは車で簡単に来られるため、道路渋滞や駐車問題、撮影待機中のアイドリング問題なども深刻化している。また、冬季にノーマルタイヤで富士山周辺に来て、身動きが取れなくなるケースもあるという。
「車で来ると気づかれないことも多いのですが、山中湖も標高約1千メートルあります。零下20度くらいになったり、大雪が積もったりするので、冬の対策は必須です」
富士山は昔から人気の撮影スポットではあるものの、マナーの悪さが目立つようになったのはいつごろなのか?