この夜東京ドームを訪れたシンガー、青山テルマさんもセリーヌの歌に胸震わせた。
「セリーヌのすごさは、どんなに年齢を重ねてもヴォーカルのクオリティがまったく落ちないどころか、レベルアップしていること。感動的です。演出も素晴らしいけれど、私は歌だけで十分に魅了されています。ほとんどの曲が私の青春の1ページです。東京ドームで聴くことができた曲の中では、今、映画『デッドプール2』の『アッシュ』にはまっています。東京公演の後はずっとリピートして聴いているほど」
今回の来日公演でも、青山さんは映画のテーマにじわっときたという。
「『ビューティー・アンド・ザ・ビースト』のイントロが響いたときは、体が震えました。あの曲をまさか聴くことができるとは。思わずキャー! と叫んじゃいました」
さて、セリーヌのショーで不意打ちだったのは、昨年この世を去ったプリンスのカバー2曲だ。終盤、バンドがマーク・ロンソンの「アップタウン・ファンク」やジェイムス・ブラウンの「セックス・マシン」をメドレーで演奏。そのファンキーな音に導かれ、セリーヌは「キス」と「パープル・レイン」を歌った。プリンスへのリスペクトをこめたこのコーナーは、他とテンションが違った。セリーヌは明らかにギアを換え、驚くほどラウド。プリンスへの思いの強さを声にこめていた。プリンスの音楽や姿の記憶が鮮やかによみがえった。
音楽は映像を特別にする。映像も音楽を特別にする。そして、特別な音楽は脳の中に映像をよみがえらせてくれる。