世界最大の世界映画祭、カンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督が最新作の『万引き家族』で最高賞であるパルムドールを受賞した。日本人監督パルムドール受賞は、今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶりだ。
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「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。そしてこの映画祭に参加するといつも思いますが、映画をつくり続けていく勇気をもらいます。そして、対立している人と人を、隔てられている世界と世界を映画が繋ぐ力をもつのではないかという希望を感じます」と感激ひとしおの様子で壇上挨拶した監督。
本作でカンヌ映画祭に参加7本目となる、世界のコレエダにカンヌでじっくり話を聞いた。
――2004年にカンヌ映画祭で『誰も知らない』が上映され、主演14歳の柳楽優弥くんが最優秀男優賞を獲得、日本社会の深層に目を向け世界中から注目を集めました。本作は同様に日本社会の深層に目を向けるという点で、ある意味監督にとっての原点に戻ったようなお気持ちはありますか?
「モチーフ的に、また題材に対する視点の持ち方とか、家族ドラマだけれども、そこと社会の接点を描こうとか、という視野の広さとかは、僕の作品の中では『誰も知らない』に一番近いのではないかと思います」
――社会の過酷な面を描きつつ、失われつつある人の絆や家族の温かさ、ぬくもり、そんなものを描きたいという気持ちはありましたか?
「僕は観客が映画を見た後、人間であることが嫌になるような映画を撮らないようにしているのは確かです。現在僕には家族や子供がいて『誰も知らない』を撮ったときとは違った状況におり、子供や家族に対する目が変わってきた実感はあります。それが自然に反映されているのかなと思います」
――カンヌでは海外の人からは観た時に、養子をもらったり、自身が養子である人達が、このテーマについて身近に感じるというコメントをもらったそうですね。
「取材に来ている外国の多くの方々は、かなり引き寄せたところで、家族をどのように作るのか、という自分なりにみている人が圧倒的に多かったです。勿論その中に自分は養子である、養子を育てているという方もいました。映画はそういう状況ではないにしても、彼らが必死に親であろうとしている点にシンパシーを抱いてくれていたようです」
――監督が驚いた海外の反応などあれば教えて下さい。