今年もカンヌ国際映画祭が開幕した。最高賞であるパルムドールを決定する審査員長を務めるのは、ハリウッドで活躍するベテラン、オーストラリア人気女優にケイト・ブランシェットだ。『トワイライト』で有名なクリスティン・スチュワートに、『007スペクター』でボンド・ガールを演じた人気フランス若手女優レア・セドウを含めた9人からなる審査員。今年は内4人が女性で占められた。
ハリウッドは切っても切れない関係にある世界最大の国際映画祭であるカンヌ。セクシュアル・ハレスメント撲滅『#MeToo』の余波は顕著で、開幕日には「性的ハレスメントの被害者を助ける無料電話ホットラインの特別開設」なども宣言されるほど。
『#MeToo』は映画祭全体を見えない空気のように覆った。
審査員長を務めるケイト・ブランシェットは本年度審査員記者会見で、「勿論もっと多くの女性監督作品がノミネートされて欲しいと思う。数年前コンペに入った女性監督は2人、今年は3人。少しずつ進歩している」と語った。
開幕を祝うオープニング作品は、アカデミー外国語映画賞やベルリン映画祭金熊賞に輝くイラン人監督、アスガル・ファルハーディーの新作『Everybody Knows』だ。主演ラウラを演じるのはペネロペ・クルス。その昔の恋人パコを夫であるハビエル・ヴァデムが演じる。2人ともハリウッド大作でひっぱりだこ、いまやスペインを代表する名優オシドリ・コンビだ。
映画の設定はマドリッド郊外にある小さな町。そこにアルゼンチンに嫁いだラウラが、妹の結婚式に参列するため娘と息子を連れて、実家に戻って来る。久しぶりの再会に家族は幸せな時を過ごすのだが、結婚式の宴の最中に雨がふり停電、その間にラウラの長女が誘拐されてしまう。長女の無事を願い、誘拐犯とのやりとりが始まる。その過程でラウラの過去や、彼女の家族、使用人だったパコの家族など、複雑な事情や人間関係からみあいながら浮き彫りになる。犯人は誰?娘は戻って来るのか。