記者クラブに加盟していない別の女性記者Bさんも、福田氏に誘われて酒を飲みながら話していると「そのスカート、色っぽくていいね」「スカートの中はどう?」などと言われ手を握られたと訴える。

「思わず体がかたまって、振り払おうとすると、さらにきつく握られて、抱きつこうとして体をよせてきました。福田さんを押し返して『そんなつもりありません』ときつく言うと、『オレとサシで飲める、話聞けるチャンス、まずないよ。仲良くしようよ』と完全にセクハラモードで、帰りのタクシーにも一緒に乗り込もうと押し問答になり、本当に困りました」

 セクシャル・ハラスメントに詳しい板倉由実弁護士はこう話す。

「相手がどんな職業であれ、どんな場所であれ、普通はためらって言えないような言葉だと思います。例え、相手がホステスさんだとしてもです。あの言葉自体、そしてその後の弁解の中に彼の女性観が表れている。『仲間内での会話で……』という部分も、財務省がそういう文化の組織なのだろうということがよくわかります。調査をきちんと進める気がないのだろうなというインパクトは与えます」

 疑惑を報じた新潮社を名誉毀損で提訴するとした福田氏の対応については、「典型的な反応」と指摘する。

「社会的な地位が高い人ほど、表の顔と違う面を暴かれることに抵抗を示し、反訴提起をしたり、弁護士に懲戒請求してきたりすることがあります。原告が女性一人の場合などは特に、本当に恐ろしく感じて主張を取り下げてしまいます。意図的かはわかりませんが、『黙ってろ』という暗黙のプレッシャーみたいなもの。彼女を孤立させず、不利益を被らせないようメディアが業界をあげて守らなければいけないでしょう」

 この対応には与党内からも批判が噴出していた。17日、野田聖子総務相は麻生財務相と菅義偉官房長官に直接、「セクハラ被害者は家族にも相談できないのが現実。加害者側が委託した弁護士に普通は話はできない。被害者の立場に立てば高いハードルがある」と伝えていた。その矢先の辞任表明だった。

 週刊新潮は19日発売号で続報を掲載するが、福田氏は会見で週刊新潮を名誉毀損で提訴するという姿勢を崩していなかった。財務省の対応が注目される。(AERA dot.編集部 取材班)

会見の一問一答につづく

※(編集部注)テレビ朝日の会見内容を4月19日に追記しました