森友疑惑をめぐる財務省の公文書改ざんや、加計(かけ)学園の獣医学部新設をめぐる問題などを追及しようと市民団体が14日、東京・永田町の国会議事堂前で大規模な抗議デモを行った。主催者発表で約5万人が集まり、安倍政権に抗議の声をあげた。元SEALDsの諏訪原健さんが現場をルポした。
国会議事堂の前で、人々によって抗議の声が挙げられる時、歩道と車道の間には、警察の手によって無数の鉄柵が設けられている。くすんだ銀色の鉄柵は、すべてをつなぎ合わせるように青いロープが巻き付けられていて、簡単には倒れないようになっている。
さらにその内側には、歩道を分断するようにカラーコーンが配置されている。人々は警察に歩道の半分のスペースに誘導され、そこで抗議をするように求められる。これは片側を通路として確保するための対応だが、「声を上げるなら管理する者に従え」、「結局はお上には逆らうことはできない」と暗示されているようでもある。
世界のデモに目を見れば、人々が広場や路上に大きく広がっている光景はありふれたものだが、この「民主主義国家」では、それすらスタンダードではない。そこには、権威や空気に従うことを求められ、声を上げることを特別視する、この社会の有様が反映されているのかもしれない。
さて、4月14日の12時50分頃、私は桜田門駅から国会議事堂のほうへと歩みを進めていた。この日行われる、安倍政権に対する抗議行動に参加するためである。この日もいつも通り、国会議事堂前正面の並木通りには、鉄柵が設置されている。いつもと少し違うのは、通りの最後尾に、ゆらゆらと動くバルーン人形が置かれていることだ。それ自体は大したことではないかもしれないが、「今日はこれまでとは違う風景が見られるのではないか…」、と少しだけそんな気持ちになった。
14時頃、抗議が始まる。並木通りを網羅するようにセッティングされた音響からは、ステージでのコールやスピーチの声が響き渡る。そんな中、ステージがある列の最後尾には、DJブースが設けられ、音楽とコールが鳴り響く。通りを挟んでちょうど反対側でも、ドラムに合わせてコールが始まる。その周囲には徐々に人が集まってきて、気付けば、DJブースの人だかりは通路を塞ぐほどに膨れ上がる。警察は、人々が車道に溢れることを警戒したのか、太い針金で鉄柵同士を固定し始めた。