こうしたリアル店舗の経営改革にも、QR決済を活用できる。康井氏は「ECサイトでは、顧客のメールアドレスを入手するのもひと苦労で、手に入れてメールマガジンを送っても、開封率は高くない」という。これに対し、QR決済を活用してもらうと、商品入荷やキャンペーンなど店舗からの情報を、実際に店舗で買い物してくれた客にダイレクトに届けることができるなど、マーケティングへの活用が手軽にできる。

 現金決済が根強い日本の小売店や外食の店舗では、現金決済を担う従業員の負担が大きい。レジでの釣り銭の準備や受け渡しはサービス業の店員の心理的な負担になるうえ、売り上げのレジ締めのため、店長などの責任者が深夜残業を強いられることも多い。キャッシュレスが実現は、サービス業の働き方改革にも効果があるという。

 日本経済は、製造業による海外輸出で経済成長を実現してきたが、今後は、サービス業による内需の拡大や雇用の創出がけん引役となることを期待されており、キャッシュレスを推進するフィンテックによるサービス業の競争力の強化が求められている。(小島清利)

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