歩行中の交通事故の死傷者数/警察庁の統計から作成
歩行中の交通事故の死傷者数/警察庁の統計から作成
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男女別 7歳児の歩行中の交通事故死傷者数(2015年)
男女別 7歳児の歩行中の交通事故死傷者数(2015年)
歩行中の死傷事故が発生した道路形状/登下校中・小学1年生(2015年)
歩行中の死傷事故が発生した道路形状/登下校中・小学1年生(2015年)
歩行中の死傷事故が発生した道路形状/登下校中以外・小学1年生(2015年)
歩行中の死傷事故が発生した道路形状/登下校中以外・小学1年生(2015年)

 歩行中の交通事故による死傷者は7歳が突出して多い――。次いで多いのが8歳、そして6歳も高水準にある。つまり小学校1年生と2年生が多く事故の犠牲になっている現実があるのだ。小学校入学とともに親と離れて登下校するようになり、行動範囲も広がる時期だが、近年は子どもの側に違反が無いケースの割合が増え、見守り活動に見直しが必要だという声も専門家から上がっている。

【図表】女児より男児が危ない!意外と事故が多い場所は…

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 集団登校する子どもたちと、通学路の交差点に立ち、見守りをする大人たち。春になるとよく目にする光景だろう。警察庁の統計によると、2016年は全国で起きた歩行中の交通事故による死傷者は5万3393人で、これを1年ごとの年齢で区切ると7歳が1282人で最も多い。この数は高齢者の2倍、成人の2.5倍にのぼる。7歳に次いで8歳が1,022人。6歳も866人で、ほかの年齢に比べて高い水準にある。9歳からは752人と大きく減少し、小学6年生にあたる12歳には388人にまで減る。そして中学生、高校生の時期は300~400人程度で推移する。つまり、歩行中の事故は小学1年生と2年生の子どもたちが多く巻き込まれていることがわかる。

 小学校入学とともに子どもが一人で外に出かける機会が増えることが理由だという。交通事故総合分析センターの研究員、山口朗さんはこう指摘する。

「実は、事故が増えるのは入学当初の4月ではありません。それは保護者による見守りや集団登校の成果出ているということでもありますが、登下校に少し慣れてきた5月から事故は増えていくのです」

 同センターが2015年の交通事故を詳細に分析したところ、歩行中の小学1年生が巻き込まれる交通事故にはいくつかの傾向があった。

 一つは発生時期。入学直前の3月に増えた事故件数は4月に一旦減り、5月から高い水準となる。そして夏休みにあたる7月、8月は減り、9~11月がまた高水準に戻るのだ。

 1日のうちの時間帯別にみると、登校時の朝7時台、下校時の午後2時~4時までの計4時間に集中する。

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