財務省による公文書改ざん問題には、現在でも多くの謎が残されている。特に重要なのが「なぜ、決裁文書に政治家や安倍昭恵首相夫人の名前が記されていたのか」ということだ。ある財務省OBは「通常、この手の文書に政治家の名前を書くことはない」という。
19日からは衆参予算委員会で集中審議が行われる。真相解明までに残された“謎”について、財務省OBとして組織の内情をよく知り、昨年2月の問題発覚当初から政府を追及してきた玉木雄一郎・希望の党代表に読み解いてもらった。
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──財務省は12日、決裁文書を300カ所以上にわたって改ざんしていたことを認めました。
我々は、1年以上にわたってウソをつかれてきた。これは、安倍政権が一体となって、国民にウソをついていたということ。そんな政府を認めるわけにはいきません。
また、財務省で働いていた経験からすると、300カ所以上にわたる公文書の改ざんなんて財務官僚はやらないし、やる意味もない。公文書とは国家の歴史そのものです。この1年、財務官僚の優秀な能力が、歴史の改ざんという間違った方向に使われてきた。国にとって大きな損失です。これには政治家の影響があったと考えざるをえない。誰が、何の目的で指示を出したのかを明らかにし、最後は政治家が責任を取るべきです。
──改ざんされた決裁文書の「調書」には、政治家の名前が繰り返し登場しています。
改ざんによって「消された」部分は、この問題の本質に関わる部分だから「消した」ということ。なぜ、都合が悪くなったのか。財務省は「佐川宣寿・前理財局長の答弁に合わせた」と説明しましたが、そんなのは大ウソです。
はじまりはすべて、昨年2月17日の国会で、安倍首相が「私や妻が関与したのなら、総理大臣も国会議員もやめる」と答弁したことです。「関与」とは広い概念で、合法的な関与でも安倍首相はアウトになってしまう。これを聞いた官僚は「あちゃー」と思ったと思いますよ。ところが、安倍政権は答弁を修正することなく、事実を修正する方に動いた。その過程で、昨年2月下旬から4月にかけて改ざんが行われたのだと思います。