換言すれば、医者になるということは、勉強を一生し続けることにコミットするわけです。なにやらコミットすれば体重も落ちるようですが、一生かけてリバウンドしないようにコミットする職業に就こうと思っていることに思いを馳せてください。
不安……?
大丈夫! これを楽しいと思えるようになりますから。古来、人間には知識欲があり、医者はそれを十二分に満たしてくれる職業なのです。
医学部は、真摯に勉強を継続できる人材を欲しているのです。嫌いな科目をきちんとやらないようでは、「あ、俺、解剖嫌いっすから」と言って、まともな診断すらできない医者になってしまうのと同じで、患者さんが不利益を被ってしまうんです。
『Outliers(天才!)』という本を書いたマルコム・グラッドウェル氏は「1万時間の法則」を提唱しました。ビートルズやビル・ゲイツなど世界の名だたる天才は、大変な努力の人だったのです。その道でプロになるためには1万時間努力すれば誰だってプロになれるのです。皆さんも1万時間がんばれば何にでもなれます。ガンバレ!
■共感力、協調力のある人材を求む
そんなに勉強ばかりしていたら、そりゃ人間も偏屈になるよな……と思った人、正解です。
残念ながら医者になると「先生」と呼ばれるため、自分が一番偉いと勘違いしてしまう人もいるようです。昨今の医療はチーム医療が主体となり、患者さんを中心にいろいろな職種が質の高い医療を提供するようになっています。だからこそ、他職種に敬意を払いましょう。
何年も勉強した医者と、テレビやネットで知識を聞きかじった患者との知識量が違うのは当たり前です。それでも気兼ねなく患者さんが自由な意見を言える雰囲気をつくらないと、いい診断には結びつきません。
「強い、偉い、賢い」医者よりも「優しく、患者目線で、腰が低い」医者のほうがより多くの情報を得られるのです。患者さんと医者は決して敵対するものではなく、共通の敵である病気に対して共同戦線を張るのです。どちらが医学的に正しいかに目を向けるのではなく、患者さんが何を心配して言っているのかに目を向けて、話を引き出す技術が必要になります。