中国・上海で活動する予定のSNH48に移籍する、AKB48の「さえぽ」こと宮澤佐江、「まりやんぬ」こと鈴木まりやを気遣ったファンからの電話が所属事務所に相次いでいる。
宮澤は2006年からAKB48に在籍し、6月の「総選挙」でも11位に食い込んだ古株。応援するファンの思い入れも深い。
AKB48のマネジメント会社AKSはこう断言する。「中国進出の路線は変更していない」。
中国の強硬姿勢が続くなか大丈夫か、とも思えるが、スポーツ紙の担当記者によると、中国でのオーディションは大盛況で、3万人超の応募者から1千人に絞り込む作業をしていて、近く予定されているオーディションも実施されるという。
「年内を予定していたSNH48の立ち上げが、来春ぐらいにずれるかもしれないが、中国でAKBの人気は絶大。外交問題は大きな障害にならないのでは」(このスポーツ記者)
中国でのタレント発掘、育成を目指しているジャニーズ事務所もとくに影響はないという。
一方、日中冷戦の影響をまともに受けた「被害者」もいた。北京で日中国交正常化40周年記念コンサートを行う予定だった谷村新司は、中国側主催者から延期の申し入れを受けた。
人々の往来にも、暗雲が立ちこめる。全日空では21日までに、9~11月の中国路線約2万6千席がキャンセルされた。「中国人のキャンセルが、日本人より圧倒的に多い」(同社広報室)という。
観光庁の調査では、今年4~6月に訪日した外国人一人当たりの消費額は、中国人が約17万6千円と、諸外国の中でぶっちぎりのお得意様である。
秋葉原の電器店従業員はこう話した。
「中国には『ふざけるな』と怒鳴りたいが、中国の人には『いらっしゃいませ』と言いたいのが本音です」
※週刊朝日 2012年10月5日号